大成功だったIPO:ワーナー・ミュージック・グループ(WMG)
米国ではIPOが活発になってきました。2020年の夏はホットなIPOマーケットになりそうです。
PwCの調査によると、2019年の米国でのIPOによる資金調達の総額は560億ドルと、2018年の540億ドルを、また、過去5年間の平均である416億ドルを大きく上回った年となりました。2020年は年初から米株市場も上昇しており、新規上場ラッシュとなるはずでした。
新型コロナウイルスが世界中で流行するまでは。
その後、米株市場がしっかりと回復し始め、市場に対する不安が減少していくなか、新規企業の上場が再開されました。
6月3日には2020年最大のIPOと言われていたワーナー・ミュージック・グループ(WMG)が上場しました。ワーナーの株価は上場後28%上昇し、時価総額は163億ドル(約1.8兆円)とIPOは大成功となりました。
期待の新星現る:ワーナーを抜いたロイヤルティファーマとは
6月16日にはワーナーの2020年最大のIPOという記録を抜いた企業が上場しました。
その会社はロイヤルティファーマ(RPRX)です。値決めは28ドルで行われたのですが、その日の引け値は44.5ドルと、上場して1日で株価は59%上がりました。時価総額は312億ドル(約3.4兆円)とワーナー・ミュージックの時価総額を超えました。
ロイヤルティファーマは、バイオ医薬品の特許を取得し、その特許から生まれるロイヤリティを収入とするユニークなビジネスを行っているグローバルな大手企業です。
具体的に言いますと、学術機関、病院の研究所、非営利団体などが研究したバイオ医療品に関する特許を買い、それをメルク(MRK)、ギリアド・サイエンシズ(GILD)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)のような大手の製薬会社へ販売しロイヤリティ収入を得て、そのロイヤルティ収入を将来の特許に再投資し成長するというビジネスモデルとなっています。
同社は1996年に設立されてから、180億ドル相当の資金を使い、バイオ医療品の特許を手にしていますが、そのポートフォリオの中身はといいますと、希少疾病、神経、HIV、心臓病、糖尿病など多岐の分野の特許となっています。
2019年の売上は16億ドル(約1,728億円)と2018年から8%伸びており、昨年の売上の1/4は6年前に33億ドル(約3,564億円)で取得した膵囊胞線維症の治療に関する特許とのことです。
会社の資料によりますと、同社は10億ドル以上の市場売り上げ規模が見込める7つのブロックバスターの治療法を含む、22の治療法を保有しているそうです。
ロイヤルティファーマのような企業がバイオ業界に資金の供給をすることで、私たちが必要とする新薬の開発が行われる訳で、そういった意味ではロイヤルティファーマの人類の対する貢献度は高いと言ってよいのではないかと思います。また、今回の新型コロナウイルスが世界的に流行するなか、これからの世の中の流れの恩恵を受ける会社でもあると言えるのではないかと思います。