前回の記事で、ストラテジックキャピタルの株主提案についてのアンケートをお願いしました。すでに多数のご回答をいただいております。誠にありがとうございます。ご回答の中で、やはりと思うと同時に残念だったのは株主提案の存在自体をご存知ない方が多いということでした。アンケートでは対象となる銘柄を保有しているかも伺っています。しかし、対象銘柄の保有者でも株主提案をご存知でないことが多いようでした。
議決権行使は重要なアクティビスト活動
昨年、マネックス証券では「マネックス・アクティビスト・フォーラム」として、株主が会社側に積極的に意見を伝えていくアクティビスト活動、アクティビズムについて様々なコンテンツを提供してまいりました。その中で、「株式投資をするときは取締役の◯◯に注目せよ」という記事を掲載しています。この記事では、米ジェフリーズ証券の日本支社調査部長であるズヘール・カーンさんにアクティビズムに着目した投資についてお話を伺っています。非常に内容の濃いインタビューですので、ぜひご一読いただければと思います。その中で特に印象的だったのは、取締役が自社株式を保有しているほど、その会社の株価パフォーマンスがいい、ということでした。経営の中核である取締役会と株主が目線を同じくすることこそが、会社の評価である株価を上昇させることにつながるというわけです。
この連載では議決権を行使してほしいと伝えています。経営者と株主が目線を同じくするため、株主がしっかりと声を出すこと、経営者に見られているという規律を持ってもらうことが株価上昇につながるだろうと考えているからです。議決権行使は多くの個人投資家にとって最も重要なアクティビスト活動であると思います。それだけに、対象会社の株主の方でもストラテジックキャピタルの株主提案をご存知でないということは、なかなか残念な話でした。
ちょうどこの時期、個人投資家の手元には多くの議決権行使書が届いていると思います。確かに、議決権行使書に添えられる議案説明は文字も多く、分かりにくいように思い、読む気になりにくいかも知れません。しかし、それらは、個人投資家の大事な資金を投じた先の重要な意思決定です。少なくとも、議決権を行使するだけでも経営側の規律につながるでしょう。ぜひ、お手元に届いていればご一読いただき、貴重な議決権を活かしてください。
今こそスマートな議決権行使を
メディアでも報じられているように、今年は株主総会への来場を控えるよう呼びかける会社が多くなっています。その分、議決権を行使しやすくしている会社が多数です。議決権行使書に記載されているQRコードを読み込むと認証の手続きなしに、スマートフォンなどで簡単に議決権を行使できる会社が増えています。ほとんどの会社で議決権の行使自体は1分もかからずに終えられます。株主総会への参加やはがきに行使内容を記載し、郵便ポストへ投函するよりはるかに簡単になっています。今のスマートな議決権行使を知るためにも、ぜひ一度議決権行使書をご覧いただければと思います。