日経平均は23,000円台乗せ、アメリカではナスダック総合指数が史上最高値を一時上回るなど、過熱感を示すテクニカル指標を横目に、相場格言である「もうはまだなり」の典型的な相場展開となっています。
前回のコラムでは、日経平均の次の主要な上値メドとして、2月3日安値22,775円前後(3月安値を起点としたE計算値22,770円)をご紹介いたしました。しかし、上値の限界の素振りを少しも見せることなく、さらに上放れることとなりました。
米5月雇用統計のポジティブサプライズで売り方は一気にかつがれ、NYダウは一時1,000ドル高、ナスダック総合指数はコロナショックによる下げ幅を帳消しにするという、緊急事態宣言が発動された当時からすると、アナリストやストラテジストなどの金融専門家でさえ、予想しがたい結果になっています。
2月からの急落で振るい落とされた弱い買い方は、一時的に撤退を余儀なくされました。その結果、上値が軽くなっており、予想外の株高につながっていると考えられます。
ただ、そうはいっても過熱感があることは確かで、いつ調整に転じても不思議ではありません。調整が始まると、皆こぞって、過熱感があった点を強調するでしょう。しかし、この過熱感というのは、短期的にはそうでも、長期的には有用な強気サインになることが多いのです。
先週末、ラジオ日経の番組にキャスターとして出演した際、リスナーの方から非常に面白いご質問がありました。そのままでは使えませんので、要約すると以下の内容となります。
「日経平均は長期的な動きでみると、18,000円処をネックラインとしたダブルボトムを形成しており、現段階はダブルボトムを形成する過程での最終段階になるのではないか?」というご質問です。
実は、私も同じ見方をしています。このご質問に対して、「2003年安値と2008年~2009年の安値を二番底、2007年高値(18,300円)あたりをネックラインとみればそうなるのではないか」「ネックラインからの下げ幅を倍返すと3万円に近くなる」、確かそう解説した覚えがあるのですが、この見方は非常に重要だと思っています。
このように考えれば、日本株に対して弱気になる必要はなくなるわけで、バブル崩壊後の調整から新相場へ抜け出す最後の関門であるからこそ、今回の短期的なコロナショックもV字波動の戻りになったのではないでしょうか。