東京市場まとめ

1.概況

本日の日本市場は昨日の米国市場が下落したことに加えて、新型コロナウイルスの感染拡大を巡り中国に対する報復措置を米政権内で検討していると伝わったこともあり一日を通して下げ幅を広げる展開となり大幅反落となりました。201円安の19,991円でスタートした日経平均は20,000円で上値が押さえられると下げ幅を広げ前場を463円安で終えました。後場に入ってさらに売られた日経平均は14時30分過ぎに一段と下げ幅を広げると14時45分に641円安の19,551円まで下落し本日の安値を付けました。結局、日経平均は574円安の19,619円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も軟調で東証マザーズ指数が6日ぶりに反落となったほか、日経ジャスダック平均も4日ぶりに反落となっています。

2.個別銘柄等

昨日の取引終了後に決算を発表した銘柄で大きく下落するものが目立ちました。2020年3月期に続いて2021年3月期も大幅な営業減益となる見通しを発表したコーセー(4922)が6.2%安となったほか、2020年3月期が7期ぶりの営業減益となった東京エレクトロン(8035)も5.5%安となりました。日本電産(6594)は2021年3月期に営業増益となる見通しを発表したことで朝方に3%以上上昇する場面もありましたが、買いが続かず下落に転じると3.6%安となっています。そのほか昨日に決算を発表した銘柄ではセイコーエプソン(6724)が4.0%安、JR西日本(9021)が6.7%安、日本航空(9201)が3.2%安、電源開発(9513)が8.1%安となっています。

反対に決算を受けて高かったのがエフピコ(7947)で2020年3月期に続いて2021年3月期も営業増益となる見通しを発表したことで1.2%高となり上場来高値を更新しています。また、第1四半期(1-3月期)の営業利益が3割を超す大幅な増益となったナブテスコ(6268)も2.1%高となりました。新型コロナ絡みでは、タカラバイオ(4974)が新型コロナウイルスの感染の有無を調べるPCR検査の時間を従来の半分以下で済ませられる新試薬を発売すると発表したことで4.3%高となり、アイロムグループ(2372)も開発中の新型コロナウイルス向けワクチンについて国立感染症研究所と共同で研究開発すると発表したことで22.4%上昇しストップ高となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は574円安となり大きな下げとなりました。大型連休前で持ち高調整の売りも出やすかったともいえますが、日経平均は本日に下落したことで一目均衡表の雲を抜けきれずに押し戻された格好となっています。そのためしばらくは雲の中で方向感を探ることになるのかもしれません。なお、今晩は日本時間の11時に大幅な悪化が見込まれる米ISM製造業景況感指数が発表されます。昨日の米国市場は景気の急速な悪化を示す米経済指標の発表が相次いだことが嫌気され下落となっただけにISM製造業景況感指数に対するマーケットの反応が注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)