4月下旬の中国株は横ばい

4月下旬の中国株は横ばいが続いています。香港ハンセン指数をみると4月17日(金)までは小幅な上昇が続いていたのですが、その後に株価は小幅な下落方向に転じています。その中でも4月21日(火)は比較的大きく下落しました。これは、原油先物価格が史上初のマイナスに下落したことや、その影響を受けて世界的に株価が軟調だったことが要因です。

原油先物価格がマイナスになったことについては米国独特の決まりがあり、投資家は差金決済をしなければ、期日にオクラホマ州クッシングで現物の原油を引き取らなければなりません。そして過剰供給と需要急減によってその貯蔵キャパシティーが限界に達し、引き取れない恐れもあるので5月限のみ投げ売りとなりました。

ローカルルールによって起きた直近限月物に限るマイナス価格現象です。同じWTI原油先物の6月物はこの日4.6ドル安(▲18.4%)の20.43ドルで終えています。また欧州北海沖のブレント原油もこの日2.51ドル安の25.57ドルで引けており、決して現物の原油価格や世界中の先物価格がマイナスになったわけでありません。

しかし単にテクニカルなローカルルールによる異常現象と片付け、無視できるものではないとも思います。昔から同じルールで行ってきたのであって、過去の不況期にもクッシングの貯蔵能力が限界に近づいたこともありましたが、一度もマイナス価格が付くということはなかったのです。

米国西海岸のサンフランシスコからロサンゼルス沖にかけて、30数隻もの大型タンカーが満タンの原油を積んだまま行く当てもなく漂泊しています。洋上貯蔵庫と化しているその量は2,000万バレルにもなるとも言います。世界中で日量3,000万バレル近くの需要減が予想されており、かつてない事態が原油を暴落させています。このことは今後短期的な波乱要因につながる可能性があります。

経済指標は回復傾向

前回、中国は世界に先駆けて景気回復の芽が出てきている状態となっていると書きましたが、引き続き中国の経済指標は良い数字が出てきています。まず3月の輸出は、市場予想の13.9%減に対し、実績は6.6%減、輸入は市場予想の9.8%減に対して0.9%減となっています。

また、3月の鉱工業生産についても、市場予想が6.2%減のところ実績は1.1%減となっています。ただ、小売売上高は市場予想が10.0%減のところ15.8%減と予想よりも悪い結果でした。これらの経済指標をみると、完全に復調しているわけではありませんが、引き続き中国経済の回復が感じられるところです。

ただ、アノマリー(合理的な説明はできないものの、そうなりやすい現象)的には株価の強い傾向がある4月はまもなく終わり、5月から株価の動きが弱くなる傾向がある、セルインメイ期間(5月~10月)に入っていきます。ゴールデンウィーク前後から相場の基調が大きく変わることもよくありますので注意が必要でしょう。

中国の経済指標は回復しているものの、欧米の経済指標の悪化はこれからが本番でもあり、それを受けて、世界的に株価が調整する可能性があると思います。原油価格の低迷や北朝鮮の地政学リスクも短期的に株価を引き下げる要因になる可能性もあります。

しかし、セルインメイ期間で株価が下がったところは、引き続き優良銘柄を購入する良いチャンスになると考えます。もちろん、今年の秋冬に再び世界中でロックダウンを招くような新型コロナウイルス感染拡大の第2波がくるといった事態になれば別です。しかし、そうでなければ、主要国で行われている大規模な金融緩和や財政投資が新型コロナウイルスの収束後に大きく効いてくると考えられるからです。