S&P500指数は、先週(4月20日から4月24日)の1週間で1.3%下落しました。米国株は、原油先物価格が史上初めてマイナスの領域へ下落したことを受け、月火曜日の2日間で4.9%の下げとなりましたが、その後週の後半には4830億ドルの追加経済対策が議会で可決される過程が好感され株価はリバウンド、1週間の下落率は1.3%に留まり1週間を終えました。

米企業の決算発表が続く、EPSは前年同期比で18%

これまでのところ第1四半期の決算発表については、S&P500指数のうち123社が決算発表を終えており、売上は前年同期比で1.81%の増益ですが、EPSは前年同期で18%の減益となっています。

しかも、今年の1月に発表された2019年第4四半期の決算発表では7割の企業がアナリストの事前EPS予想を上回りましたが、現時点では第1四半期の決算発表では48%の企業のみが事前予想を上回っています。企業業績は2018年から毎回平均4%程度アナリストによる事前予想を上回っていたのが、今回は現時点で5%の事前予想を下回る結果をだしています。

市場のフォーカスは米国経済の再開

全米で5万人以上の方々が命を失うなか、人口の97%以上が外出禁止、または屋内退避指令を受けています。日本と全く同じで、米国でも多くの人々がストレスのある日々の生活を余儀なくされており、多くの国民が今までの普通の生活に戻れることを心待ちにしています。

米国社会がこのような状況にあるなか、企業の決算発表は当然のことながら個別銘柄の株価に影響を与えている一方、将来起きるであろうことを織り込もうとする株式市場は、過去の決算より、今後起きるかもしれない経済の再開からくるポジティブな展開にフォーカスしてくると考えます。これは、決算発表が本格化した4月の半ばから先週までの間、米国企業が18%減益の決算発表を行うなか、S&P500は2%程度上昇したことから伺うことができます。

コロナウイルス感染状況が改善している米国では、トランプ大統領がそれぞれの州が経済を再開するにあたってのガイドラインを発表した後、州知事の権限が大きい米国では、各州知事がそれぞれの判断を下すようになっています。

ペンス副大統領は、先週末のラジオインタビューで、米国の新型コロナウイルス流行は「6月初旬までには、米国の大半でこの流行は過ぎ去っていると確信する」と語り、「正直に言って昨今の傾向を見ると、メモリアルデー(5月25日)の週末までに新型コロナは終息すると考えている」と続けました。
ムニューシン財務長官も、日曜日(4月26日)のテレビインタビューで、「(米国)経済を5月、6月に再開すると、7月、8月、9月には経済は真に持ち直してくる」と答えています。

また、バンク・オブ・アメリカ (NYSE: BAC)のモイニハンCEOも日曜日のテレビインタビューで、同銀行の内部データによると、個人消費はここ数日「横ばい」になっており、3月と4月初めに急激に落ち込んだ後、特定の地域で伸び始めていると説明し、「このようなデータは、経済が部分的、且つ安全に開放されるとすれば、個人消費は引き続き回復し、米国経済は活性化することになろう」と語りました。

企業の方も当然のことながら、ビジネスの早期再開を願っています。
EV自動車大手のテスラ(NASDAQ: TSLA)は、今週工場を再開すべく、テスラの労働者は職場へ戻ってきて欲しいと発表しています。IT業界は、ビジネスの性格上在宅勤務をし易い業界だと思いますが、それでもコロラド州に本社を置くBroadcom(NASDAQ: AVGO)は先週金曜日(4月24日)に従業員に対し4月27日から週に一度は会社へ出社するよう義務化したと言います。

そんななか企業業績は下方修正が続く

毎週報告しています通り、アナリストによる企業収益コンセンサス予想は、先週比で下方修正が続いていますが、株式市場は先に記したように、あまりこのトレンドには注目していないようです。

【図表1】下方修正が続くS&P500のEPS予想
出所:Bloombergよりマネックス証券作成

第1四半期については、前回の16.5%の減益から、今回は若干ですが17%の減益へと下方修正が行われています。第2四半期についてはもっと厳しく下方修正が行われており前回の31.7%の減益が、今回は36%の減益となっています。第3四半期は、16.6%が19.3%の減益へと下方修正です。第4四半期につきましては、6.6%の減益が、8.3%の減益へと下方修正されています。

2021年の第1四半期につきましては、今まで上方修正が起きてきていたのですが、それが今回18%の増益から、16.7%の増益へと下方修正がはいっています。その下げの分は、2021年の第2四半期で今までの45%の増益から50%への増益へと上昇修正が起きています。

来週はS&P500指数採用銘柄のうち162社の決算発表が予定されています。
4月30日に決算発表が予定されていますアップル(NASDAQ: AAPL)については、長期に渡る株主還元策の一環として、増配と自社株買いの発表を行うことが期待されており、米国株式市場のムードを明るくしてくれる可能性があります。
 

4月27日週の主要企業決算予定

今週はS&P500指数採用銘柄のうち83社が決算発表を行う予定です。同指数の主要銘柄の決算発表のスケジュールと予想一株利益(調整済みEPS)は以下の通りです。
EPSコンセンサス予想vs 前年同期実績で記載(出所:Bloomberg)。

4月28日(火)

ペプシコ (NASDAQ:PEP)            1.03ドル vs 0.97ドル    
メルク (NYSE:MRK)                1.34ドル vs 1.22ドル    
モンデリーズ・インターナショナル (NASDAQ:MDLZ)    0.66ドル vs 0.65ドル  
スターバックス (NASDAQ:SBUX)            0.34ドル vs 0.60ドル
アルファベット (NASDAQ:GOOGL)         10.34ドル vs 10.81ドル
キャタピラー (NYSE:CAT)            1.68ドル vs 2.94ドル
ファイザー (NYSE:PFE)            0.71ドル vs 0.85ドル
ユナイテッド・パーセル・サービス (NYSE:UPS)    1.24ドル vs 1.39ドル 

4月29日(水)

クアルコム (NASDAQ:QCOM)        0.81ドル vs 0.81ドル
マイクロソフト (NASDAQ:MSFT)        1.28ドル vs 1.14ドル
フェイスブック (NASDAQ:FB)        1.72ドル vs 1.89ドル
ゼネラル・エレクトリック (NASDAQ:GE)        0.07ドル vs 0.14ドル
マスターカード (NYSE:MA)                     1.72ドル  vs 1.78ドル 
ボーイング (NYSE:BA)                          1.11ドル vs  3.16ドル   
テスラ (NASDAQ:TSLA)*                      0.37ドルvs  2.90ドル
*S&P500採用銘柄ではない  

4月30日(木)

アマゾン・ドット・コム (NASDAQ:AMZN)    6.32ドル vs 7.09ドル          
アルトリア・グループ (NYSE:MO)        0.98ドル vs 0.90ドル
Dow Inc (NYSE:DOW)            0.59ドル vs 0.83ドル
アップル (NASDAQ:AAPL)            2.29ドル vs 2.46ドル
アメリカン航空 (NASDAQ:AAL)                    2.26ドル vs 0.52ドル
マクドナルド (NYSE:MCD)            1.57ドル vs 1.78ドル
アムジェン (NASDAQ:AMGN)                     3.80ドル vs 3.56ドル
ビザ (NYSE:V)                               1.35ドル vs 1.31ドル

5月1日(金)

ユナイテッド航空(NASDAQ:UAL)                 2.83ドルvs 1.15ドル
クロロックス (NYSE:CLX)            1.72ドル vs 1.44ドル
エクソンモービル (NYSE:XOM)            0.02ドル vs 0.55ドル

今週金曜日(5月1日)、21時から、第4回米株投資初心者向けオンラインセミナーを開催しますが、その一部では米国から7歳から株式投資を行っているIonnieさんが15分ほど出演してくれることになっています。現在33歳の彼女が7歳から株式投資を行ったきっかけ、株式投資で1 Million ドル(約1億800万円)を目指す彼女の投資スタンスなどご紹介する予定です。お時間ある方はぜひご参加ください。オンラインセミナーはこちらから。(本セミナーは口座をお持ちのお客様限定のセミナーです。)

※決算発表につきましては、あくまで決算発表予定であり、変更となる場合ありますのでご注意ください。