東京市場まとめ
1.概況
本日の日本市場は続落となりました。189円安の19,479円で寄り付いた日経平均は取引開始20分後に315円安まで下げ幅を広げたあと朝方の売りが一巡する140円安まで一旦持ち直しました。しかし、節目の19,500円を小幅に上回ったところで上値が押さえられると再び下げ幅を広げ、11時ごろに北朝鮮の金正恩委員長が手術を受けて重体と伝わると地政学リスクが意識され一段安となりました。後場に入ってさらに下げ幅を広げ12時45分に475円安の19,193円まで売られた日経平均はその後やや持ち直したものの安値圏で推移すると結局388円安の19,280円で取引を終えています。
こうしたなか新興市場も軟調で東証マザーズ指数が7日ぶりに反落し4%を超える下落となったほか、日経ジャスダック平均も12日ぶりの反落となっています。
2.個別銘柄等
新型コロナウイルスに関連したニュースで大きく上げる銘柄がみられました。ウシオ電機(6925)はウイルスの感染力を抑えたり細菌を殺したりする紫外線照射装置を開発し、医療機関の診察室やオフィスなどに設置して使うことを想定して新型コロナウイルスへの効果を確かめる実証実験を米国で始めたと伝わったことで8.3%高となりました。また、タカラバイオ(4974)はアンジェス(4563)や大阪大学などと共同で新型コロナウイルスのワクチンを開発中で今夏に臨床試験を始めワクチンの量産体制を構築すると伝わったことで10.4%高となりました。アンジェス(4563)も7.3%高となり、タカラバイオとともに年初来高値を更新しています。さらに医学生物研究所(4557)は新型コロナウイルスに対する抗体を測定する研究用試薬の取り扱いを開始すると発表したことで2.1%高となっています。
北朝鮮の地政学リスクが意識され防衛関連も買われました。石川製作所(6208)が9.5%高となったほか、豊和工業(6203)も2.7%高となっています。石川製作所は一時ストップ高となる場面もありました。一方で商業施設内のレストランなどを運営するクリエイト・レストランツ・ホールディングス(3387)が2020年2月期の業績予想を下方修正し、年間配当も減額修正したことで5.9%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
日経平均は昨日に先週末の大幅高の反動で下げると、本日は原油価格の急落を受けて米国市場が大幅安となったことで下落してスタートし北朝鮮の地政学リスクが意識されて下げ幅を広げる展開となり続落となりました。こうしたなかで日経平均は昨日に一目均衡表の雲の下限に押し返される格好となっています。したがってこのまま一目均衡表の雲の下限を抜けられないと水準を切り下げる雲に沿って上値が重くなりそうで、反発する局面では雲の下限を超えられるかが試されることになりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)