米ドル/円 日足

週間予想レンジ:107.50~110.00

メインストラテジー:押し目買い

・米大統領「強いドル支持」発言、ドル高政策への転換を示唆
・200日移動平均線を巡るレンジを形成、目先保ち合いの継続を示す
・ドルインデックスとの連動はなお強められ、これからより鮮明に

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週は値動きが限定的だったものの陰線で大引け。やや軟調の展開だったが、3月末安値106.91円割れを回避していたところはポイントであり、中段保ち合いの継続でレンジの下限を確認したことは重要。

拮抗した市況を一段と浮き彫りにした。前回の指摘の通り、連日値幅限定でまだら模様を呈した。モメンタムの欠如であったものの、200日移動平均線を巡る攻防はなお継続中であり、ブレイク待ちの局面は変わらない。

もっとも、コロナショックによる世界金融相場の大混乱と共に、ドル/円はドル全体(ドルインデックス)との連動性が大きいことは繰り返し指摘してきた通り、目先なお維持される。トランプ米大統領が一貫してドル高をけん制してきたが、先週末一転して「強いドルがよい」と発言、ドル高政策への転換を示し、これから相場への影響をもたらすだろう。

既述のように、そもそも従来の「有事の円買い」といったロジックはすでに過去のものとなった。日本全国の緊急事態宣言があっても「リスクオフの円買い」は確認されておらず、先週の3月末安値維持自体も同視点において確認のポイントであったとみる。換言すれば、中段保ち合いにおけるレンジの下限の確認という位置付けでは、先週の下値をもってすでに行われた可能性が大きい。

前回強調していた通り、3月第4週におけるドル全体の反落は、この前の大幅V字型反騰に対する修正との位置づけだった。したがって3月末安値の106.91円を割らない限り、3月9日安値101.19円を起点とした上昇波へすでに復帰した公算が大きいから、早晩2月高値の112.22円の再トライにつながるというメインシナリオは維持される。

詰まる所、3月第2週の足型が点灯したサインの効き目がなお維持されるだろう。同サインは間違いなく「フォールス・ブレイクアウト」、即ち歴史的な金融相場の混乱と相まって一時の下放れが「ダマシ」であったことを示唆、3月高値の111.72円の打診をもたらした。同サインの効き目が有効である以上、切り返す途中の調整があっても一時的に留まる。先週の陰線をその一貫と位置付ける。

短期スパンでは、先週を含め、200日移動平均線を巡る攻防で中段保ち合いが続いている。クロス円における外貨高・円安の効果が下支え、コロナショックがあってもユーロ/円は3月安値を維持できていること自体が大きなサインと見なし、また米ドル/円の底固さを逆に暗示する存在に。

米ドル/円の歴史的な「ダマシ」的なサインと共に円安の内部構図を証左し、今週も値幅限定の可能性が大きい。しかし、中段保ち合いのレンジが確認された以上、引き続き押し目買いのスタンスで臨みたい。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:67.50~70.50

メインストラテジー:押し目買い

・豪ドル安の行き過ぎが修正されたが、目先なお途中
・主体は豪ドル安だったので、豪ドル/米ドル次第の側面は大きい
・豪ドルの自律反発、あくまで修正の範囲に留まることに注意

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週値は動きが限定的。陰線引けしたものの、67円台半ばの支持を一旦確認した形を示す。先々週の大幅続伸に続いただけに、途中のスピード調整と位置付けされやすく、また切り返しの途中とみられる。

もっとも、先週一旦69円関門の突破が果たし、豪ドルの底打ちを強化する値動きとして理解されやすく、70円心理大台への打診が見えてきたと言える。繰り返し指摘してきた通りコロナショックで3月19日まで大きく続落、一時60円の心理大台を割り込んだこと自体が豪ドル安のクライマックスだったと見なし、70円心理大台の回復があれば、メインシナリオは一段と強化される。

コロナショックと相まって、恐怖のドル買いやドル・クランチの進行で豪ドルは資源国通貨として売られやすかった側面が大きかった。しかしパニック的な値動きがすでに一旦収束し、先週の豪ドル/米ドルの続伸もあって、調整的な反騰を当然の成り行きとみる。

深刻な「オーバーシュート」、即ち「売られ過ぎ」の状況が3月半ばまで続いていた分、修正波(切り返し)の継続も当面見られやすく、先週豪ドル/米ドルの値幅が限定的だったものの、なお切り返しの途中とみる。

米ドル/円の値幅限定があったからこそ、目先、豪ドル/円は豪ドル/米ドル次第との側面が大きく、原油安や米ドル高政策で切り返しも紆余曲折になりやすいとみられる。とはいえ3月半ばまでの急落がそもそも大分行き過ぎたため、目先再度反落があっても値動きが限定的また再度押し目があれば、下値拾いの好機と考えられる。要するに、切り返しはなお継続されるという見通しは維持される。

繰り返し指摘してきたように、4月19日の日足が示した「スパイクロー」の足型、一旦底打ちのサインとして大きく利いたこと、またその後「インサイド」のサインを形成してから上放れを果たしたことは重要なサインであった。70円心理大台への回復が見られていないうちは、同上放れで推測される目途がなお達成されず、切り返しの頭打ちを想定するには性急である。

週足では、3月第3週に「包まれる」形で3月第4週(3月30日~)の陰線引けがあったから、先々週の大陽線、週足における「インサイド」の上放れを証明したことも目先の上値余地を示す。この場合、72円関門以上の高値トライを想定していただけに、目先の値動きはなお途中と位置付ける。

前回の既述の通り、69円台半~70円心理大台は目先の抵抗と見なし、続伸できない場合はまたスピード調整があってもおかしくなかった。したがって先週の小幅変動に続き、今週一旦反落が先行してもおかしくなかろう。しかし、3月25日の罫線が示した「スパイクハイ」のサインに鑑み、67円台が一転して支持ゾーンになりやすい。66円台後半~67円台後半の支持ゾーンを明白に割らない限り、当面切り返しの継続を有力視といったスタンスは不変。

更に整理してみれば分かるように、3月19日の陽線は「強気リバーサル」のサインを点灯、底打ちを示し、3月25日の高値67.71円へ戻り、切り返しの最初子波を完成したわけである。3月25日は「星線」の形状を示し、一旦抵抗ゾーンを確認した形で4月2日の64.39円の打診をもたらした。同安値の水準、3月9日安値の64.47円に近いその後の切りかえしや3月25日高値のブレイクがあって、「逆三尊」のもっとも標準的なパターンが示される。

ゆえに、これから「倍返し」の計算でまず71円関門手前までを狙え、その後75円関門前後を照準できる。前者は3月25日高値~4月2日安値までの値幅を上乗せ、後者は前記「逆三尊」で推測できる上値ターゲットであるから、一直線な上昇が想定しにくいものの、これからの余地が示唆される。今週も底固い推移に留まれば、前記ターゲットの達成を引き続き有力視する。