東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は284円安の1万6726円と反落しました。東証2部指数やマザーズ指数なども下落した一方で、TOPIXやJPX日経400は上昇しました。前日の米国市場が大幅に反発したことを受けて、日経平均は142円高の1万7154円と続伸して寄り付きました。まもなく385円高まで上昇した日経平均は買い一巡後に上げ幅を縮める場面も見られましたが、その後は堅調に推移し296円高の1万7308円で前場を終えました。後場に入りしばらくは堅調に推移していた日経平均でしたが、米国市場の時間外取引で米株価指数先物が大幅安となりサーキットブレーカー(取引停止措置)が発動したことを受けて下落に転じました。引け間際に313円安まで下落して安値をつけた日経平均は、284円安の1万6726円で取引を終えて終値ベースでは3年4か月ぶりに1万7000円を下回りました。東証1部の売買代金は4兆1106億円と連日で4兆円を上回りました。
東証33業種は空運業や化学、陸運業などの16業種が上昇した一方で、鉱業や不動産業、倉庫運輸関連などの17業種が下落しました。
2.個別銘柄等
東証1部の売買代金上位銘柄は下落した銘柄が多くなりました。売買代金トップのソフトバンクグループ(9984)が10.9%下落したほか、トヨタ自動車(7203)やファーストリテイリング(9983)、三菱UFJフィナンシャル・グループ (8306)、武田薬品工業(4502)、KDDI(9433)、東京エレクトロン(8035)が下落しました。ファーストリテイリングは7%近い大幅安となりソフトバンクグループと2銘柄で日経平均を190円近く押し下げています。中でもソフトバンクグループは、出資先の米ウィーカンパニーの株式を既存株主から買い取る計画を見直す可能性があると報じられたことで、事業再構築の先行きが懸念されて売られました。
一方でソニー(6758)や富士フイルムホールディングス(4901)、任天堂(7974)は上昇しました。中でも富士フイルムホールディングスは傘下の富士フイルム富山化学が開発したインフルエンザ治療薬「アビガン」が中国での臨床研究で新型コロナウイルスへの有効性を確認されたと伝わったことから買いが入り、ストップ高となっています。一方で今月5日に新型コロナウイルスのワクチン開発に着手すると発表して以降買いが入っていたアンジェス(4563)は14.6%下落しました。
その他材料が出たところでは、クスリのアオキホールディングス(3549)が7.7%上昇しました。17日に発表した2019年5月~2020年2月期決算が増収増益となっており、経常利益の通期見通しに対する進捗率が88%と堅調なことを好感した買いが入りました。
VIEW POINT: 明日への視点
一時は385円高まで上昇した日経平均ですが、終値では284円安と大きく下落して3年4ヶ月ぶりに終値ベースで1万7000円を割り込みました。引き続きボラティリティの高い不安定な相場が続くと思われ、さらなる下げに警戒しておいたほうが良さそうです。
(マネックス証券 マーケット・アナリスト 益嶋 裕)