東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は856円安の1万8559円と大幅に続落しました。TOPIXやJPX日経400、東証2部指数、マザーズ指数なども総じて下落しました。世界保健機関(WHO)が新型肺炎の感染拡大を「パンデミック」と表明したことや前日の米国市場が大幅に下落したことを受けて、日経平均は351円安の1万9064円と続落して寄り付きました。10時にトランプ米大統領が国民向け演説を開始したものの、期待されていた給与減税について具体的な言及がなかったことや欧州に対する渡航制限などから急速に下げ幅を広げた日経平均は11時過ぎに1,076円安まで下落して安値をつけました。前場を1,003円安の1万8412円で終えた日経平均は、円高が一服したことなどを受けてやや下げ幅を縮めると、856円安の1万8559円で取引を終えました。東証1部の売買代金は3兆7853億円と4日連続で3兆円を上回りました。

東証33業種は全て下落しており、中でも海運業が8.2%下落したほか、空運業や鉱業なども大幅に下落しました。

2.個別銘柄等

東証1部の売買代金上位銘柄は総じて下落しました。売買代金トップのソフトバンクグループ(9984)が6.3%下落したほか、ファーストリテイリング(9983)やソニー(6758)、任天堂(7974)、トヨタ自動車(7203)、三菱UFJフィナンシャル・グループ (8306)、武田薬品工業(4502)、東京エレクトロン(8035)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)、オリエンタルランド(4661)が下落しました。中でもソフトバンクグループは、世界的な株式相場の下落を受けて投資先企業の価値低下が懸念されて大幅に続落しています。また、一部では急激な原油安を受けて傘下のビジョンファンドからサウジアラビアの政府系ファンドの資金が引き上げられるのではとの見方も出ています。

その他材料が出たところでは前田道路(1883)が2.7%上昇しました。同社は大株主である前田建設工業(1824)が1月に発表した株式公開買い付け(TOB)についてかねてより撤回を求めており、TOBの撤回を前提としたインフラ運営事業での協業を提案したものの拒絶されたと11日の引け後に発表しています。一方で本日期限を迎えるTOBについて期限の延長や撤回は行わないと発表している前田建設工業は6.8%安となっています。また、婚活サービスを手掛けるIBJ(6071)はストップ安水準となる15.4%安で取引を終えました。同業のツヴァイ(2417)に対するTOBを発表したものの、赤字が続いており業績寄与を見込みにくいことやTOB価格が高額であることなどが嫌気されました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日も日本市場は大幅安となりました。マーケットは世界的に悲観一色の様相です。先日来記載しているように本格的な反発は新型肺炎の感染拡大収束の道筋が見えてくることや、効果的な治療薬の開発、世界各国で大規模な財政支出の拡大や金融緩和の実施が行われることが必要になると思われます。大底がいつなのかそしていくらなのかは誰にもわかりませんが、既に日経平均や東証1部のPBRは1倍を割れており長期的に見れば割安感のある水準まで下落していますし、歴史を振り返るとマーケットが総悲観の際というのは後から見ると投資のチャンスだったということも多くあります。ご自身の大切なお金がかかっていることであり、簡単なことではないのは承知しておりますが、こうした局面こそ冷静に企業のファンダメンタルズを分析し、企業業績や保有している資産以上に売られている銘柄を少しずつ買い下がっていくというスタンスも有効ではないかと考えています。これだけ毎日株価が大きく下がったり、新型肺炎の感染拡大の報道ばかりのなかでは皆様のお気持ちが非常に暗くなりがちだと存じます。軽々しく申し上げて良いことではありませんが、明けない夜はないことに目を向けぜひ冷静にマーケットに望んでいただければと存じます。

(マネックス証券 マーケット・アナリスト 益嶋 裕)