東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は168円高の1万9867円と3日ぶりに反発しました。TOPIXやJPX日経400、東証2部指数、マザーズ指数なども総じて上昇しました。前日の米国市場が急落したことを受けて、日経平均は223円安の1万9474円と続落して寄り付きました。9時半過ぎには806円安まで下落して1万9000円を割り込んだ日経平均でしたが、その後は急速に持ち直して前場を293円安の1万9405円で終えました。後場に入りプラスに転じた日経平均は、もみ合いながらもじりじりと上げ幅を広げて一時は271円高まで上昇すると結局168円高の1万9867円で取引を終えました。東証1部の売買代金は3兆8120億円と2日連続で3兆円を上回りました。
東証33業種は鉱業と海運業、石油石炭製品を除く30業種がいずれも上昇しました。中でも証券商品先物が4%近く上昇したほか、不動産業や倉庫運輸関連などが上昇しました。
2.個別銘柄等
東証1部の売買代金上位銘柄はほとんどが上昇しました。売買代金トップのソフトバンクグループ(9984)が2.4%上昇したほか、ソニー(6758)や任天堂(7974)、トヨタ自動車(7203)、三菱UFJフィナンシャル・グループ (8306)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)、東京エレクトロン(8035)、キーエンス(6861)、オリエンタルランド(4661)が上昇しました。一方で、ファーストリテイリング(9983)は小幅に下落しました。
材料が出たところでは、ゲーム開発のオルトプラス(3672)が21.3%上昇しました。同社が開発に参画しており配信が延期されていた新作スマホゲーム「ヒプノシスマイク」シリーズについて、本日公式ツイッター上で事前登録キャンペーン企画の追加情報が公開されたことなどが好感されました。また、光学機器メーカーのリコー(7752)が6.9%上昇しました。傘下のリコーリース(8566)について保有株式のうち約20%をみずほリース(8425)に譲渡すると9日に発表しており、資本効率の改善や譲渡価格の上乗せ幅を好感した買いが入りました。一方でリコーリースは4.5%安となっています。また、ラーメンチェーンの幸楽苑ホールディングス(7554)は4%下落しました。9日の発表で2020年3月期通期の最終損益が従来の黒字予想から一転して赤字になる見通しだとしたことや、同期末の配当を無配としたことが嫌気されました。
VIEW POINT: 明日への視点
日経平均は一時4%安まで下落し、終値は0.9%高と大きく持ち直しました。より値動きが大きかったのがマザーズ指数で、7%安近くまで下落した後に一時4%高近くまで持ち直す大きな値動きとなりました。本日前場の下げはセリングクライマックスの様相もある極端な下げとなりました。後場に入って大きく持ち直したことも短期的なアク抜け感が出て市場のセンチメント改善につながると思われます。いったん底打ちとなり数日間持ち直す可能性もありますが、従来からご紹介しているように世界的な新型肺炎の感染拡大に歯止めがかかっていないなかでは、本格的な反発は難しいと考えられます。引き続き警戒感を持ってマーケットに望みたいところです。
(マネックス証券 マーケット・アナリスト 益嶋 裕)