東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は1,050円安の1万9698円と大幅に続落しました。TOPIXやJPX日経400、東証2部指数、マザーズ指数なども総じて下落しました。急速な円高進行や原油価格の急落を受けて、日経平均は406円安の2万343円と続落して寄り付きました。まもなく節目の2万円を割り込んだ日経平均はしばらくもみ合いとなっていましたが、ドル円が一時101円台まで円高に振れたことを受けて11時過ぎに1,277円安まで下落して安値をつけました。1,276円安の1万9473円と安値圏で前場を終えた日経平均は後場に入り膠着感を強めましたが、引け間際にやや下げ幅を縮めると1,050円安の1万9698円で取引を終えました。東証1部の売買代金は3兆4646億円でした。また、東証1部の値下がり銘柄数は2,138銘柄と東証1部全体の99%近くを占めています。
東証33業種は全て下落しました。中でも鉱業が12.4%下落したほか、銀行業や証券商品先物、鉄鋼なども大幅に下落しています。
2.個別銘柄等
東証1部の売買代金上位銘柄は総じて下落しました。売買代金トップのソフトバンクグループ(9984)が10.4%下落したほか、ファーストリテイリング(9983)や三菱UFJフィナンシャル・グループ (8306)、ソニー(6758)、任天堂(7974)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)、トヨタ自動車(7203)、みずほフィナンシャルグループ(8411)、リクルートホールディングス(6098)、東京エレクトロン(8035)が下落しました。中でもトヨタ自動車はドル円が一時101円台をつけたことなどから、同社の想定為替レートである108円との乖離による利益の押し下げが嫌気されて4.4%下落しました。他にもスズキ(7269)が7.3%安、本田技研工業(7267)が7.1%安となっています。
その他材料が出たところでは、安川電機(6506)が9.2%下落しました。外資系証券が新型肺炎の影響を考慮して投資判断を2段階引き下げ、目標株価も大幅に引き下げたことが嫌気されました。また、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非加盟国が開いた閣僚会議で協調減産の合意がなされなかったことや、4月以降サウジアラビアが石油を増産すると報じられたことを受けて、原油価格の急落による収益悪化が懸念されて国際石油開発帝石(1605)や石油資源開発(1662)など一部の原油関連株が大きく売られました。一方でニチレイ(2871)が2.5%上昇して逆行高となりました。新型肺炎への警戒感から外出自粛の動きが広がるなか、主力製品である冷凍食品の需要増加を期待した買いが入りました。
VIEW POINT: 明日への視点
ドル円が一時101円台をつけるなど急速にリスクオフが進み日経平均は1,050円安と大幅に続落しました。日経平均は安値模索となっていますが、株価の本格反転にはコロナウイルスの感染拡大の落ち着き、政府・日銀の財政支出や金融緩和などが必要になってくるとみられます。しばらくは上記のような政策発動を待ちつつ底打ちを探るという展開になる可能性がありそうです。なお、今夜の米国株の取引は夏時間になり、取引開始や終了は日本時間で1時間早くなりますのでご注意ください。
(マネックス証券 マーケット・アナリスト 益嶋 裕)