中国本土市場は2月28日に急落
中国本土市場は2月27日(木)までは当局により矢継ぎ早に打ち出された金融緩和や財政投資拡大、さらには政府による買い支え(ファンドや保険会社を通じた買付)もあったであろうことから、世界的な株安の中で比較的堅調な値動きが続いていました。しかし、2月28日(金)に新型肺炎の感染拡大を懸念した世界的な株安の流れに押されて大きく下落し、上海総合指数は200日移動平均線を大きく割り込みました。
比較的堅調な株価推移であったことから、週末・月末の手仕舞い売りが出たことに加え、2月29日(土)には中国国家製造業購買担当者指数(市場予想は45.0)とサービス業購買担当者指数(市場予想は50.5)が発表される予定であったことから、予想よりも悪い数値が出てくるのではないかとの懸念も株価の重しとなりました。
そして、実際に発表となった中国国家製造業購買担当者指数は予想を遙かに大きく下回る35.7となり、金融危機時を下回る過去最低の水準に、サービス業購買担当者指数も29.6となり、こちらも過去最低の水準となりました。新型肺炎の対策による移動制限や原材料不足によって工場が再開できなかったり、消費が極度に低迷したりということが要因です。
もっとも、新型肺炎が収束すれば工場の稼働率は回復し、4~6月期には大幅な回復が見込まれることもあります。ただ、短期的には景気にかなり大きなショックを与えている模様です。
一方、2月下旬の香港ハンセン指数は下落を続ける推移となり、2月28日(金)も大きく下落して、一時、2019年12月につけた安値を割り込む水準となりました。
ただ、大型株を見ると、テンセント(00700)は移動制限でゲームを行う人が増えるとの見方からそこまで大きくは下落しておらず、アリババ(09988)も下落が続いたものの、まだそこまで大きな下落とはなっていない印象です。
目先は反発期待も、しばらくは軟調な基調が継続するか
2月24日以降の1週間は世界的にも歴史的な急落となりましたが、各種テクニカル指標を見ると、今週は一旦の反発がある局面となっており、中国株も一旦反発となる見込みです。ただ、そのままV字回復となるかというと、そうはいかないと思います。
過去にも相場が大きく変動し、不安定になり出した時は、当分の間騰がっては下がるという軟調気味の方向感の無い値動きが続くことが良くあったものです。株価が大きく下がると、景気刺激策などで反発はあるのですが、持続力が弱く、新たに出てくる新型肺炎の感染拡大や経済減速の兆候が重しとなって下げ返すという感じです。新型肺炎による企業業績への悪影響も今後、次々と発表されてくるでしょう。
ただし、前回のコラム「旧正月明けの中国株は反発基調に」でも書いたとおり、株価が下がったところは優良銘柄の良い買い場になると思います。
たとえばアリババ(09988)を見ると足元の決算は絶好調で、申し分のない内容でした。ただ、新型肺炎の影響で今年前半は、初めて減速という文字が同社を襲う可能性もあります。しかし需要が減ったのではありません。ただ従業員が戻らず、工場、物流が止まり、停滞が社会現象となるなかで、同社業務も需要に対応できず、注文がキャンセルになる、あるいは注文を受け付けられない状況という形です。
依然として中長期的には需要が伸び続ける下地はあり、ユーザー数や注文数、出店するブランドは増える一方です。したがって社会の停滞が解消されれば業績も元に戻り、元の成長軌道に帰るでしょう。それまで株価は調整を続ける可能性がありますが、そのような場面は購入の好機となる可能性があると思います。
その他にもテンセント(00700)や平安保険(02318)、美団点評(03690)、舜宇光学科技(02382)などといった優良銘柄は同様にチャンスが来る可能性があるでしょう。