新型肺炎の影響緩和を狙い、中国人民銀行が合計1.7兆元供給

2月上旬の中国株は、2月3日(月)に中国本土市場が取引を再開しました。

新型肺炎の影響で株価は大きく下落して始まったものの、中国人民銀行(中央銀行)が公開市場操作(オペ)で2月3日(月)に1兆2000億元(約18兆6000億円)、4日(火)にも追加で5,000億元(約7兆7500億円)を追加供給したこともあって大きく下げ続けることはありませんでした。その後の株価は反発して切り返してきており、上海総合指数は200日移動平均線の手前まで戻してきています。

【図表1】上海総合(日足)
出所:マネックス証券作成

なお、中国当局は経済安定化に向け減税など新型肺炎対策を強化する方針を打ち出しています。足元では中国財政相が企業支援のために、税・費用の削減措置を継続し、必需品や物流を提供する企業への増値税(付加価値税)の軽減や免除を表明するなど、積極的な経済対策が推し進められています。

また、中国本土市場においては、2015年夏の暴落時のように、政府による買い支え(ファンドや保険会社を通じた買い付け)が入っている可能性もあると思います。当時もそうだったのですが、良い悪いはともかくとして、何か人為的な作用が及んでいるようなチャートに見えます。

香港ハンセン指数も2月3日(月)を底として株価は反発基調が続き、50日移動平均線を上抜けるところまで回復しています。

相場の流れも少し変わってきており、2月上旬までは新型肺炎の感染拡大が材料視され、外食、食品、レジャー、空運などが弱く推移し、反対に「在宅」による需要増加からゲーム関連や大手通信銘柄が堅調になるといった物色がみられました。

しかし、2月11日(火)ごろからは状況が変わり、下げていた航空株が反発上昇する一方、在宅需要で上げていた通信キャリア大手が反動で売られました。さらに衛生用品需要の高まりから、香港ハンセン指数構成銘柄で上昇率一位となるなどしていた恒安国際(01044)も、一転して大きく売られるなどしました。

まだ安心はできないが下がったところは買いのチャンスに

ここまで書いてきたように、反発基調にある中国株ですが、これでもう安心という訳にもいかないと思います。過去の株価推移を振り返ると、相場がぐらつきだしたときは、上昇基調と下落基調を頻繁に繰り返し、方向感の欠ける相場になりやすい傾向があります。

新型肺炎感染者の継続的な拡大については、株価はあまり反応しなくなりつつありますが、これほど工場や店舗が閉鎖されている状況から、中国経済へのダメージを示す報道が次々に出てくるはずと思います。

しかし、そのような報道で短期的に株価が下がったところは基本的には大きなチャンスになると思います。中国当局の金融緩和や財政投資拡大がありますので、最終的には上昇に転じられると思うからです。

また、新型肺炎も時間が経てば感染拡大は収束していきます。そして、回復基調にあるとは言っても、株価は下がっているので、個別株を見ると割安感がある銘柄が多くあります

たとえば、配当利回りが高いジョルダーノ(00709)を見ると、中国店舗の営業休止があったほか、旧正月期間の10日間における同社店舗の売上高は、本土で前年比57%減、香港マカオで61%減となったと発表されています。

この影響から株価は大きく下がっていますが、今期のアナリスト平均による予想配当利回りは9.8%まで上昇してきています。新型肺炎による影響が延々と続くのであれば懸念もされますが、いつかは収束するのであれば長期的な視点でチャンスと捉えることもできると思います。

このように配当利回りが高くなっている銘柄はジョルダーノ(00709)だけではなく、莎莎国際(00178)、中国石化上海石油化工(00338)、広州富力地産(02777)、中国龍工(03339)など数多くあり、投資を検討しても良いのではないでしょうか。