「バレンタイン文化」に染まりたくなかった「こだわり」
明日、2月14日はバレンタインですね。巷では、カラフルなチョコレートのパッケージが溢れています。
さて、私自身は、昔はこのチョコレート商戦に加担しまい、と心に強く決めていて、本命チョコなんてもってのほか、義理チョコだってあげるものか、と思っておりました。
小学生高学年からアメリカで生活をしていた私にとって、アメリカ文化の中でバレンタインというのは、好きな男の子からプレゼントをもらう日になっていました。ですので、日本に帰国して自分があげる側になるなんて、とんでもない!と思っていたわけです。「郷に入れば郷に従え」と言いますが、全くそんな気持ちにはなりませんでした。
ところが、あるとき勤務していた外資系企業が買収され、吸収された先の企業では、私が嫌っている「バレンタイン文化」が存在していました。
女子社員はバレンタイン前になるとソワソワして、隣のビルの百貨店へチョコレートを買いに行ったり、チョコレート菓子を作ったりして、当日になると「ちゃんと準備していましたよ!」といった感じで上司や同僚などに配るのです。
受け取る側も満更ではないようで、ホワイトデーにはもらったものより少し良いものをお礼に準備しているようでした。ただ当時の私にはお金と時間の無駄にしか思えなかったので、主人に話をしてみたところ返ってきたのは「みんながあげているなら、あげないと評価が下がるのでは」という言葉でした。
私は「それで評価が下がるなら、その程度の会社!」と言い、内心では心配しつつも自分を曲げることだけはしまいと思い、バレンタインの日を迎えました。
私にとっては、とても苦痛の1日となるところでした。そんなとき会社の受付から内線がかかってきました。
「ご主人からのお預かりものがあります」と言われ、取りに行ってみるとそこには袋の中に必要なだけのGODIVAのチョコレート箱が入っていました。それを見たとき内心ホッとしたのを覚えています。
こだわりが強い私がチョコレートを買いに行かないのは明らか、とはいっても、チョコレート1つで周りとの関係がギクシャクして仕事が上手くいかなくなるのはもったいない、という夫の配慮だったのでしょう。
尊重性が低いと周りを疲弊させ、本人も精神的にモヤモヤする
ちなみに、当時の私の頑固さというのは、前回もお伝えしたコミュニケーションの構造分析(ACS※)では、「尊重性」という尺度で見ることができます。
この尊重性というのは、「他人と自分の違いがどれくらい気になるかをみる」ものです。簡単にいうと「こだわり」ですね。
「尊重性」が高い場合、周りの意見に素直に合わせることができます。尊重性が低くなってくると、「私が正しい」「これはこうあるべき」といったこだわりがとても強くなってきます。
リーダーの立場にある人や、調香師やこだわりのラーメン職人など、職業によって「こだわり」は必要な場合がありますが、尊重性があまりにも低いと、人間関係において周りを疲弊させ、実は本人も精神的にモヤモヤとしていることが多いです。
尊重性の低さは、家族や身近な同僚や親しい友人など特に近しい人に影響が出やすいです。その人たちが、尊重性の高い人たちの場合、ある程度スルーしてくれますが、相手も尊重性が低い場合は争いになりやすく、家庭の場合だと、喧嘩してもお互い折れないで冷戦状態が続くことも多いでしょう。
そして、最終的には「性格の不一致」と決めて別れてしまうことも。また両親の尊重性が共に低い場合、子どもにもその影響が出ます。
尊重性を上げると投資方法への強いこだわりも変化する
ただし尊重性は、意識で変えやすい尺度でもあります。私自身はセルフコーチングでこの尊重性を変えて、とても生きやすくなりました。ここでは「尊重性を上げる」簡単な方法を1つお伝えします。
まずは、1日の中で何かイライラしたり、気になったりすることがあったら、何かある度にそのことをメモしていきます。そして、1日の終わりにそのリストを眺めてみるのです。そうしたら、意外とたいしたことがない事柄に、自分が振り回されていることに気づくでしょう。まずは「気づく」ことから、変化が始まります。
さて、投資に関しては、尊重性はどう関係するでしょうか?「この商品で儲けると決めたのだから」というこだわりがありすぎると、損が出ていてもなかなか損切りができないということがあるかもしれません。
こだわりも度を過ぎると、身を滅ぼしてしまいますね。どんなところからも、どんなものからも、お金を得る、という広いあり方でいると、自分にとって良い情報が入ってくるでしょうし、新しい挑戦もしやすくなるのではないでしょうか。
(※)ACS: Analysis of Communication Structureの略。カップルカウンセリング先駆者の和田真雄先生が、「個性論」という考え方のもと、計量心理学の権威である村上隆先生と日本心理学会で発表している科学的根拠のある心理テスト。一般の心理テストがEQ「行動特性」を測定しているのに対し、ACSはCQ「発想パターン」を測定しているのが特徴です。参照:CQ協会(外部サイトへ遷移します)