新型肺炎の影響続く

旧正月の連休明けの香港株は、新型肺炎の影響で軟調な株価推移が続いています。なお、香港市場は1月29日(水)に取引が再開されましたが、中国本土市場は31日(金)から再開予定だったところ新型肺炎の対策で2月3日(月)からと、再開を延期しています。

中国では都市の封鎖が拡大しており、一部ではパニック的な光景もみられます。そのような中で中国経済に対して悪影響を及ぼす可能性が日増しに高まってきているところです。

各国や民間企業が予防措置として人やモノの移動を制限し、香港やマカオでは本土からの旅行者が激減しています。航空便数も大きく減っており、地理的に近い香港経済への悪影響も避けられないといえます。少なくともアジアを中心に第1四半期の経済や企業業績を押し下げることになるでしょう。

そして、世界全体への影響も懸念されています。SARSの時は中国のGDPが世界経済に占める割合は4%で世界経済への影響は限定的でしたが、今では世界経済に占める中国のGDPの割合はかなり大きくなり、17%に達していますので中国経済の減速は世界経済にも悪影響を与えそうです。

好調だった米国株も米国で複数の感染が連続的に確認され、「Virus Fears」という言葉が相場解説の中心となり、1月31日(金)は大きく下がりました。

長期的に下落トレンドに転換するリスクは少ない

もっとも、世界保健機関(WHO)が緊急事態宣言を行ったものの、貿易や旅行による移動まで制限する勧告は出していないように、今のところコロナウイルスが世界経済を大きく狂わせ、株価の長期トレンドが下落トレンドに転換するようなリスクは非常に少ないと思います。

程度の差はあれ、こうした疫病は普段から意識していないだけで存在しており、毎年インフルエンザで25万~50万人、日本だけでも約1万人の死亡者が出ています。世界には70億人以上もの人口がいるのです。感染すれば2人に1人は死ぬエボラウイルスや、10人に1人以上亡くなったSARSならパニックとなるのも分かります。

中国株が暴落すれば数年に1度のチャンスにも

しかし、今のところ今回の新型コロナウイルスの致死率は2%(そして、おそらくこのあと感染者数が拡大していけば、分母が拡大していくので致死率はさらに下がっていく見込み)、さらに健常者が死に至る例はごく稀です。地域も限定的ながら、映像で伝わる防護服や、マスクの売り切れ状況などは、リスク相応以上の過剰な反応と感じます。

前回も書きましたが、過去の例に漏れず、疫病の混乱はいつまでも、この状況が続く訳はありません。少なくとも、気温が高くなってくれば収束しやすくなります。恐らく春の終わりから夏へ向けて経済活動も正常化し、その匂いを嗅ぎ取った瞬間から株価は一歩先に反発するのではないかと思います。

このように考えると、一段とパニック的に下がったところでの中国株は、極めて大きな買いチャンスになる可能性があると見ています。相場は上げも下げも過剰なものとなるからです。リーマンショック時や2016年1月の中国・資源暴落時など5年に1度クラスのチャンスでしょう。

そうなると、テンセント(00700)やアリババ(09988)はもちろん、平安保険(02318)やニュー・オリエンタル・エデュケーション・アンド・テクノロジー・グループ(NYSE:EDU)、美団点評(03690)といったような普段株価が下がらない優良株も大きく下げることになります。

また、バランスシートとキャッシュフローのしっかりしている高配当銘柄を狙うのも良いでしょう。一時的に業績は悪化すると思いますが、最終的に業績が元に戻ってくれば、結果的に配当利回り20%以上になるといった安値で買うチャンスもあると思います。

このように考えていくと、2020年2月の中国株は世界の中で最も注目に値する株式市場なのではないでしょうか。