新型肺炎の影響で軟調な株価推移に

1月の中国株は中旬までは強い株価推移が続いていました。しかし、新型肺炎の感染が拡大し、香港政府が普通選挙要求を改めて拒否する中で、金融街で民主派と警察が衝突するなど、今後の更なる混迷が懸念されて軟調な動きとなっています。

新型肺炎は「人同士」の感染が確認され、中国でも公共交通機関を停止する都市が増加しています。中国本土市場では、旧正月の連休前の最終売買日となった1月23日(木)は手仕舞い売りも広がり、大幅安となりました。

なお、香港市場は、1月27日(月)~28日(火)が旧正月で休場、中国本土市場は旧正月で1月30日(木)まで休場となります。

中国の春節(旧正月)で大規模な出入国があると見られる中で、新型肺炎が経済に悪影響があるのではないかと心配されています。

米国株の下落幅はわずかですが、市場の動揺を表すVIX指数が急上昇し、中国の需要に左右される原油や銅の価格が急落しています。安全資産の買いによって米国債券が買われ、米国の長期金利も大きく低下しました。

一方、同じ資源でも安全資産の金は上昇しています。表向きは新型肺炎の感染が広がって景気減速するということで、銅や原油にはそうした見方が色濃くあるのかもしれません。

ただ、株式市場では、株価の長期トレンドが下落転換するほど深刻に、影響されているようには見えません。どちらかというと下げなければならないほど上がり過ぎた株価にとって、良い下げの口実ができて一気に利益確定売りに動いているという方がしっくり来る感じです。

世界的に株価は昨年12月から、金融緩和だけを材料に慢性的に上がるのが癖になってしまったように上がり続けました。イラン緊張で一旦調整入りかとも思われましたが、それをも振り切って上昇を続けた結果、過熱感が出ていたところです。

2月は良い買いのタイミングとなる

新型肺炎は、あまりにも上がり過ぎた株価を短期下落局面入りさせるには十分な悪材料であろうと思います。

ウイルスの感染力からすると、時間が経過すればするほど感染者数が大幅に増えていくでしょう。かなりの潜伏期間があるようで、今のように警戒される前にすでに感染している潜在的患者が数千人単位でいるとみています。

今後、潜伏期間が終了すると、それらの肺炎が発現するのは自然の成り行きで、時間の問題でしょう。患者数が日増しに増え、高値にあった株価は調整する言い訳を見出したように下がる恐れもあると思います。

しかし、もう少し中長期的に考えれば、新型肺炎によって世界経済全体が失速することまではないでしょう。確かに感染は広がると思いますが、死亡に至る割合は比較的少ない病気のように思います。

たとえばインフルエンザにおいても、日本国内で年間1万人ほどの死亡者数がいることを考えても、今回の新型肺炎が経済に与える影響は限定的でしょう。

あくまでも過熱感が出ていた株式市場が調整するキッカケとなったに過ぎないという認識で良いと思います。おそらく3月になれば株価は再び上昇基調に戻ると思います。

2003年に猛威を振るったSARS(重症急性呼吸器症候群)の時もそうでしたが、感染拡大が懸念され、株価が下がったところは、優良株の良い買い場になるのではないかと思います。今回の新型肺炎では、株価が下がったテンセント(00700)やアリババ(09988)、平安保険(02318)、美団点評(03690)などがその例です。

特に中国株は新型肺炎の発信地ということもあり、世界的に見ても株価の下落が大きくなると思います。どれほど恐れなければならないか、正確な情報がないため株式市場は少し過剰に反応すると思います。しかし、それだけに良いチャンスにもなると見ています。