米ドル/円 日足

週間予想レンジ:107.50~109.00

メインストラテジー:押し目買い

・中東有事のドル高(ドル全体)は限定的なので、本格的なリスクオフではない
・イラン情勢の不安定が続くが、同国は全面戦争できる体力がなく杞憂はいらない
・108円関門割れが一時に留まれば、逆に底固さが証左され、切り返し継続へ

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

年末年始の時期の商い薄に加え、年明けからイラン情勢の緊迫で一旦円が買われ、本日1月8日朝イランの米軍基地攻撃で、米ドル/円は一時107.64円まで売られた。しかし、米軍死者ゼロの報道もあり、イランが本気で対米開戦するとは思えない。なにしろ、イランには対米戦争をできる体力が残っておらず、イラクの二の舞になるだけを避けたいのも指導部の本音のはず。イラン戦争や世界大戦は杞憂に過ぎない。

同視点でフォローしていくと、円買いがあってもむしろ驚くほど値幅は限定的であることに気づく。2019年年初のクラッシュに比べ、今回イラン戦争の危機が煽られるなか、昨年年末の高値から本日ザラ場の安値(現時点)まで2円程度の円高しかない。クラッシュばかりか、本格的なリスクオフとさえ言えない。故に、過度な解読や心配は不要だと思う。

週足におけるサインは、整合性を持って判断すべきことは繰り返し指摘してきた。2019年11月第1週の大陽線がもっとも重要だったことは既述の通り。

2019年11月第2、第3週の値幅は共に低下していたので、第1週の罫線と「インサイド」を形成し、11月末の高値トライをもって上放れを示唆した。昨年8月高値109.33円のブレイクをもって新たな段階入りが示唆された以上、本日ザラ場安値までの再反落を一種の「振り落とし」と見なすべきだ。換言すれば、切り返しの継続をなお有力視する。

テクニカル上の証拠は変わっていない。2019年8月1日の大陰線、典型的な「弱気リバーサル」&「アウトサイド」のサインを点灯したからこそ、8月の安値につながった。そのため、同8月高値は「分水嶺」の役割を果たし、その後ブレイクされたことで、本格的な上昇波と化したはず。中期スパンでは、昨年4月高値112.41円を目指す上昇波、途中の抵抗があっても総じてスピード調整にすぎず、目先の位置づけは不変。

連日安値トライしていたものの、まだ終値で108円関門割れを果たしていないことも興味深い。また、昨年11月1日安値107.89円に対する一時の下放れ自体が「フォールス・ブレイクアウト」の可能性も浮上した。

日足における「逆三尊」(昨年8月26日安値をヘッドとし)の維持もあって、米ドル/円は底固い推移を保てる公算。しばらく中段保ち合いの継続が想定されるが、押し目買いのスタンスを維持する。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:73.70~75.70

メインストラテジー:押し目買い

・米ドル/円次第だが、米ドル/円と同様、地政学リスクに敏感
・7月高値76円台前半の打診はすでに確認され、ブル基調は不変
・豪ドル/米ドル、一旦200日線乗せもポイント、再度回復があれば豪ドルを支える

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

年末年始の時期の商い薄に加え、年明けからイラン情勢の緊迫で一旦円が買われ、本日1月8日朝、イランの米軍基地攻撃で一時73.76円まで打診した。しかし、米軍死者ゼロの報道もあり、イランが本気で対米開戦すると思えない。なにしろ、イランには対米戦争をできる体力がなく、イラクの二の舞になるだけを避けたいのも指導部の本音だろう。イラン戦争やら世界大戦やらは杞憂に過ぎない。

もっとも、2019年年末までの大幅続伸、同11月高値の更新をもってブルトレンドを一段と証左した以上、見通しは全く変わらない。豪ドルの反落があっても、途中のスピード調整と見なす。
スピード調整があったほうがより健在な上昇波につながる公算だ。換言すれば、目先の材料にとらわれず、内部構造に注目すべきといえる。

繰り返し指摘してきた通り、昨年11月第2週から12月第一週まで、大きな「インサイド」のサインを形成していた。故に、高値更新自体が上放れを決定させ、また上放れが確認された以上、ブル基調は維持される。

年末年始の商い薄やイラク情勢に鑑み、むしろ円買いの値幅が限定された印象が強く、米ドル/円次第だが、基本的には地政学リスクに敏感であるものの、想定より底固い推移を維持している。

昨年8月26日のサインが果たした「リバーサル・デー」の役割が大きく、同9月高値のブレイクをもって最終認定が図られたことが繰り返し指摘した通り。故に、ブルトレンドは76円台後半の打診があっても通過点に過ぎず、上値余地の拓きはこれからだとみる。

目先のサインとして、今朝一旦73.76円をトライし、昨年12月10日安値を下回ったものの、切り返しを果たし、サポートゾーンを再度確認した可能性が大きい。

なにしろ、昨年12月10日の安値トライ自体が「フォールス・ブレイクアウト」のサインを点灯したから、本日このまま維持できれば、同じサインを点灯してもおかしくなかろう。

結果的に維持される場合は、「ダブル・ボトム」の形成にもつながり、切り返しに寄与しよう。押し目買いのスタンスは不変だ。