香港ハンセン指数は力強く上昇

これまで日本株や米国株に比べて冴えない動きが続いていた中国株ですが、12月後半は力強い動きとなっています。上海総合指数はややおとなしい値動きですが、それでも終値で3,000ポイントの大台を回復しており、売買代金も活況時の水準に膨らんできています。

また、信用取引の残高が2018年3月以来となる1兆元台を回復し、証券株が買われています。本土市場は過去にも信用残高が膨らんでいく過程で大幅高となったことが幾度も見られました。

そして、香港ハンセン指数は久々に28,000ポイントの大台を回復し、株価は力強く200日移動平均線を上に突き抜けています。特に12月27日(金)は力強い陽線となっています。

【図表1】香港ハンセン
出所:マネックス証券作成

12月27日(金)に香港ハンセン指数が大きく上昇した背景にはやはり米中通商協議進展への期待があります。クリスマスの連休中に米中通商協議での融和ムードが拡がり、米国株が堅調に推移した流れを受け継ぎ、テンセント(00700)、AIA(01299)、アリババ(09988)といった時価総額が大きな銘柄が強く推移しました。

前回のコラム「2020年前半の中国株が上がるための条件」でも書いたように、中国政府は12月12日に閉幕した中央経済工作会議で、2020年の財政政策はより「強力で効果的」であるべきであり、「穏健」な金融政策を続けると表明しています。

つまり、財政投資拡大+金融緩和に舵を切っている状況ですので、ここから米中貿易戦争が進展もしくは休戦となれば、中国経済は上向くと予想できます。実際、主要国の製造業景況感指数やサービス業景況感指数を比較すると中国の数字が比較的力強く推移していることがわかります。

2019年は中国株にとって厳しい1年

年内最後の今回は2019年の相場を総括してみたいと思います。2019年は中国株にとって厳しい1年で、上下に変動の大きいボラタイルな相場展開となりました。

2018年終盤に米中貿易戦争から景気減速懸念が沸き起こり、株価は大きく下げました。そこから年初早々にアップルが中国でのiPhone販売不振を理由に業績見通しを下方修正し、「陰の極」に包まれた中で2019年はスタートしたのでしたが、第1四半期はその反動で大きくリバウンドしました。

そして好調だった相場は、5月に再び米中が関税の報復合戦に突入して下落。利下げを躊躇していたFRB(米連邦準備制度理事会)が夏に利下げに踏み込むほど景気に対する不安が増し、リスク回避の動きが却って強まり、8月までに大きく下げました。

しかし、9月初めに交渉の途絶えていた米中間に協議再開との動きが伝わると、これがブレークスルーに繋がるとの見方が出てきました。そして米中は12月に第一段階の合意に漕ぎつけ、中国株もようやく回復基調となりました。

2019年は米中通商協議が相場転換の鍵となり、その不安から2度大きく下げた後にリバウンドが繰り返された格好です。

2020年は米中通商協議の融和ムードで株価上昇へ

そして、2020年の中国株の見通しですが、明るい展望を持っています。米中共に財政政策を拡大させ、緩和的な金融政策の下、経済の失速を立て直そうとしている中で、米中通商協議が融和ムードで進んでいることが株価上昇に繋がるでしょう。

実際のところ、既にいくつかの兆候が見えています。

たとえば、米中間の取引が多く関税の影響を受ける半導体セクターは、まだ業績が回復しておらず決算も悪いものの、今後の見通しが改善するとの予想から株価は上昇しています。そして2019年第4四半期のフィラデルフィア半導体株指数は主要指数をアウトパフォームしました。これは中国経済が今後立ち直る可能性を予想している投資家が多いことを意味していると思われます。

以上を踏まえ、2020年の中国株は良い見通しになるのではないかと予想しています。

今年も1年、ご愛読いただきましてありがとうございました。2020年もどうぞ、引き続きよろしくお願いいたします。