米ドル/円 日足

週間予想レンジ:108.00~109.50

メインストラテジー:押し目買い

・今週FRB利下げ確実、想定通りなら円の「事実の買い戻し」は継続される
・先週の続伸で「二番底」を形成、下値リスク後退
・米利下げ後インフレが高まる傾向に、ドルの緩やかな上昇を支える

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週は大きく反騰、陽線引けをもって地合いを改善した。108.83円のトライもあり、日足におけるフォーメーションの可能性を一段と強化している。フォーメーションの視点として、まず「二番底」の可能性、さらに、6月25日を「ヘッド」とした「ヘッド&ショルダーズ・ボトム」(逆三尊)というフォーメーションの形成が有望視された。

これらは先週のコラム「米ドル/円「二番底」を形成へ、豪ドル/円はリバウンド継続に」で指摘した通りである。先週の大幅切り返しをもって、この指摘についての蓋然性を一段と高めた。

もっとも、7月10日の陰線は弱気「リバーサル」のサインに近く、また7月9日の陽線を否定していたため、その後の反落をもたらした。

また、6月11日高値に対するブレイクが「フォールス・ブレイクアウト」、即ち「ダマシ」のサインを点灯していたから、先週の切り返しは同サインが示唆した「底割れ」の可能性を否定したわけである。ゆえに、近々109円関門のトライがあれば、地合いの一段の堅調につながる。

既述のように、4月高値を起点とした下落波は最終段階であり、6月安値自体が年初急落時と同様、かなり「オーバーシュート」の状況だった。したがって、その後の反騰や7月10日の一旦108.98円の打診は「オーバーシュート」に対する最初の反動と見なせる。6月安値を割らない限り、切り返しへ復帰する公算は大きかった。

一方、「オーバーシュート」が深刻だっただけにそれに対する修正も一直線に行かず、途中の押しがあっても当然の成り行きである。また、先々週までの押しがあっても見方を維持することができ、先週の切り返しはもっとも有力な証左となる。

さらに、4月高値を起点とした下落波動は大型「下落ウェッジ」を形成、1日の陽線をもって同フォーメーションの上放れを示した。先々週までの続落があっても、同フォーメーションに対する上放れ自体を否定できず、先週の切り返しをもって従来の基調を保てたとみる。

米国は今月利下げ確実、利下げ予想はほぼ織り込まれただけに、利下げ実施前後における「事実の買い戻し」を覚悟すべきだ、ということも既述の通り。先週の値動きはその証左でもあった。さらに、米利下げ後は往々にしてインフレが緩やかな上昇局面を迎えると思われ、ドルを支える要素として注意されるだろう。ドルの切り返しは継続される公算だ。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:74.50~76.00

メインストラテジー:押し目買い

・拮抗状態続き、変動レンジの拡大も
・底打ちパターンを維持、戻り継続の公算
・豪ドル対米ドルの大幅下落が足を引っ張る

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週は大きく反落し、豪ドル対米ドルの大幅反落が足を引っ張る形で再度軟調な推移となった。日足におけるサインとしてもっとも注意されるのが、7月3日や7月11日安値を下回ったことだろう。両日は共に強気「リバーサル」のサインを点灯しただけに、安値の割り込みをもって一旦上放れに失敗したことを示唆している。

既述のように、6月最終週の大幅反騰は6月第3週の底打ちを証左した。もっとも、我々は同週の安値更新を下落の「クライマックス」と見なしただけに、同週の大幅反騰を当然視した。

この意味でも先々週まで続いた保ち合いを過大解釈しなかった。しかし、地合いの改善が続いていた以上、6月第2週からの3週間の足型の組み合わせである「明けの明星」のパターンを示し、同パターンの維持で上放れの可能性をより重視していた。

日足では、6月安値を「ヘッド」として「逆三尊」というフォーメーションの形成も繰り返し指摘してきたとおり、7月1日高値を突破できれば、本来はそのまま上放れを果たす可能性が大きかった。先週の反落によって、上放れの可能性を一旦否定したものの、前記の6月安値を「ヘッド」とした「逆三尊」のフォーメーションを完全否定することにはならず、再構築される可能性が示される。

ただし、一旦上放れに失敗したことや7月3日安値の割り込みもあり、仮に中段保ち合いの継続があってもその変動レンジの拡大は避けられないだろう。76円関門の再打診があれば、初めて再度底打ちを確認できるから、時間がかかる見通しだ。

とはいえ、6月安値割れさえ回避できれば、6月安値を起点とした切り返しの継続を有力視する。目先を含め、途中のスピード調整と見なし、先週の反落で従来の想定より深い押しが示唆されるわけだ。

ここはあくまで調整波と見なし、調整一巡後、なお押し目の好機と見なせる。その意味では、より深い押しがあったからこそ、今後上放れがあればより大きなリバウンドを果たせる公算となる。