ねんきん定期便で見込み額を確認しよう

年金の制度改正も気になるけれど、心配なのはやはり我が家はどれくらいの額を受け取れるのか、でしょう。詳しく知りたい方には、日本年金機構から個別に送付される「ねんきん定期便」が参考になります。

ねんきん定期便では受給資格期間(原則120ヶ月以上)を満たしているか、どれくらい保険料を納めてきたのかなどの確認ができ、加入実績に応じた年金の見込み額も掲載されています。毎年の誕生月にはがきが送られてくるので、よく見もせずにポイ捨てしてしまわないよう気を付けましょう。

ねんきん定期便が見付からない場合は、日本年金機構が運営するウェブサイト「ねんきんネット」に登録すれば、いつでも必要に応じて自分の年金情報を確認することができます。最寄りの年金事務所や年金相談センターなどに年金手帳を持参し、問い合わせることも可能です。

注意したいのは、ねんきん定期便に書いてある見込み額がそのままもらえるわけではないということ。ねんきん定期便の数字はあくまで額面で、そこから税金や社会保険料(健康保険・介護保険)が差し引かれます。年金収入によっても異なりますが、1つの目安として、手取り額は額面の8割程度と考えておくといいでしょう。

100歳までにもらえる年金は夫婦で1億円!?

さて、以前のコラムで、夫婦で100歳まで生きるとすると老後資金は1億円プラスアルファ必要というお話をしました。では、年金でそのうちどれくらいをカバーできるのでしょうか。平均的な受給者のケースで考えてみたいと思います。

厚生労働省「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、現在の受給者の平均額(月額)は、厚生年金加入者(会社員や公務員OB)の男性が16万6668円、女性が10万3026円です。自営業者や専業主婦など国民年金のみの場合は5万5615円でした。

これを基に世帯主が会社員OBの夫婦が65歳から100歳までに受け取る年金額を計算すると、妻が専業主婦のケースで9335万8860円、共働きならば1億1327万1480円にも上ります。年金の貢献度は思いのほか高いのです。

気を付けたいのはシングルの人。会社員であれば65歳から100歳までの年金の合計額は男性が7000万560円、女性が4327万920円となります。しかし、老後の生活費は単純に夫婦世帯の半分で済むとは限りません。光熱費にしろ食費にしろ、ひとり暮らしは割高です。甥や姪など後を任せる人がいない場合は、介護や“終活”のコストも多めに見積もっておいた方がいいでしょう。

国の年金はいわば、“強制加入の終身年金”です。一生涯支給されるわけですから、長生きすればするほど有利になります。万が一預貯金が尽きるようなことがあっても、2ヶ月に一度必ず振り込まれる年金で暮らしていけるなら、路頭に迷うことはありません。前回のコラムでお話しした繰り下げ受給の制度を利用するなどで上手に老後の資金計画に取り込んでいけば、とりわけ“長生きリスク”対策としては、極めて有効な手段になるはずです。