【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 25539.57  △207.39 (6/5)
NASDAQ: 7575.48  △48.36 (6/5)

1.概況

米国市場は弱い雇用関連の経済指標を受けて米連邦準備理事会(FRB)による利下げ観測が強まり続伸となりました。118ドル高でスタートしたダウ平均は41ドル高まで弱含む間面もありましたが、午後に入って再び上げ幅を広げると引け間際には212ドル高まで買われました。結局ダウ平均は207ドル高の25,539ドルと3日続伸となっています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も48ポイント高の7,575ポイントと続伸となりました。

2.経済指標等

5月のADP全米雇用リポートで民間部門雇用者数は2万7000人増に止まり市場予想を大きく下回りました。一方で5月の米ISM非製造業景況感指数は56.9と前月から上昇し市場予想も上回りました。また、米地区連銀経済報告(ベージュブック)で米連邦準備理事会(FRB)は経済活動に関して緩やかなペースで拡大したとし前回からわずかな改善がみられたとしています。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうち10業種が上げ、不動産と公益事業が2%を超える上昇となったほか、情報技術と生活必需品、資本財・サービスも1%以上上げています。一方でエネルギーが1%余り下げています。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄は30銘柄中24銘柄が上げました。そのなかでもシスコシステムズ(CSCO)が3%近く上昇したほか、マイクロソフト(MSFT)も2%以上上げています。また、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)とビザ(V)、ウォルマート(WMT)も2%近く上げたうえ、アップル(AAPL)も最高経営責任者(CEO)が中国政府はアップルを報復の標的としていないと述べたことで1%台後半の上昇となっています。

ダウ平均構成銘柄以外では、配車サービスのウーバーテクノロジーズ(UBER)が強気の投資判断が相次いだことで買われ5%を上回る上昇となりました。終値は公開価格の45ドルに並んでいます。動画配信機器のロク(ROKU)も投資判断と目標株価の引き上げを受けて8%以上上昇し上場来高値を付けています。さらに顧客情報管理大手のセールスフォース・ドットコム(CRM)も決算で売上高や1株利益が市場予想を上回ったことで5%余り上げ、食品のキャンベル・スープ(CPB)も決算で1株利益が市場予想を上回ったことで10%高となりました。

一方でスマホ向け通信半導体のスカイワークス・ソリューションズ(SWKS)がファーウェイへの米政府の制裁を受け2019年4-6月期の売上高と1株利益の見通しを下方修正したことで2%余り下落しています。

5.為替・金利等

長期金利は変わらずの2.13%となりました。ドル円は108円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

不法移民の流入を巡る米国とメキシコの協議が物別れに終わったと朝方に伝わりメキシコに対する米国の追加関税が回避されるとの見方が後退するなか本日の日本市場はやや売り優勢でのスタートが予想されます。昨日に370円近く上げた日経平均が底堅さをみせるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)