【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 25962.51  △216.84 (3/21)
NASDAQ: 7838.96  △109.99 (3/21)

1.概況

20日の米国市場でダウ平均はトランプ大統領が対中関税を維持することを検討していると述べたことが嫌気され下落しました。19ドル安で始まったダウ平均は寄り付き後も軟調に推移すると一時は216ドル安まで下落しました。連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が発表され2019年は利上げが実施されない見込みであることが判明するとダウ平均は急速に下げ幅を縮めてプラスに転じ、一時は42ドル高まで上昇しました。しかし再びマイナスに転じるとその後も下げ幅を広げて結局141ドル安となりました。一方でハイテク株比率の高いナスダック総合指数は5ポイント高の7,728ポイントと上昇しました。

21日の米国市場では前日のFOMCの発表内容が引き続き好感されるなか、投資判断の引き上げが相次いだアップル(AAPL)が牽引し主要指数は揃って上昇しました。ダウ平均は57ドル安と続落して始まりましたがすぐにプラスに転じると、まもなく98ドル高まで上昇しました。ダウ平均はいったん伸び悩む時間帯もありましたが、その後再び上げ幅を広げると取引終盤に264ドル高まで上昇し26,000ドルの節目を回復する場面もありました。引けにかけてやや上げ幅を縮めたダウ平均ですが、結局216ドル高の25,962ドルと反発して取引を終えました。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数も109ポイント高の7,838ポイントと続伸しました。

2.経済指標等

20日に結果が発表されたFOMCで2019年は利上げが実施されず、2020年も1度の利上げにとどまる見通しであることがわかりました。また、FRBのバランスシート縮小は9月に終了することが表明されました。21日に発表された前週の新規失業保険申請件数は221,000件と市場予想を上回る改善となりました。

3.業種別動向

20日のS&P業種別株価指数は金融やヘルスケア、資本財・サービスなどの6業種が下げました。中でもハト派的なFOMCの結果を受け金利が低下したことが嫌気され金融は2%を超える下げとなりました。一方でコミュニケーション・サービスやエネルギー、不動産などの5業種が上昇しました。
21日のS&P業種別株価指数は金融を除く10業種が上昇しました。中でも情報技術が2.5%の大幅上昇となったほか、不動産、一般消費財、生活必需品、公益事業、素材が1%を上回る上昇となりました。

4.個別銘柄動向

20日の米国市場でダウ平均構成銘柄は30銘柄中23銘柄が下落しました。中でも金利低下を受けゴールドマン・サックス(GS)が3%を超える下げとなったほか、JPモルガン・チェース(JPM)も2%超下げました。また、ユナイテッド・ヘルスグループ(UNH)やアメリカン・エキスプレス(AXP)、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(WBA)なども高い下落率となりました。一方でホーム・デポ(HD)やマクドナルド(MCD)などはしっかりでした。ダウ平均構成銘柄以外では、宅配大手のフェデックス(FDX)が3.5%安となりました。2019年度の利益見通しを引き下げたことが嫌気されました。

21日の米国市場ではアップルの大幅上昇が目立ちました。アナリストによる投資判断の引き上げが相次いだことが好感され3.7%の大幅高となりました。また、決算が好調だった半導体のマイクロン・テクノロジー(MU)も買いを集め10%近い大幅高となっています。一方でエーザイ(4523)と共同で研究していたアルツハイマー治療薬の臨床試験を打ち切ると発表したバイオジェン(BIIB)は30%近い大幅安となりました。

5.為替・金利等

20日の米長期金利はハト派的なFOMCの結果を受け前日比0.09%%低い2.52%となりました。21日の米長期金利は前日から0.01%上昇して2.53%となりました。ドル円は110円台後半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

ダウ平均は2日間で75ドル上昇しました。また、ハイテク株の堅調さが際立っています。日本市場も上昇してのスタートが予想されますが、20日と比べてドル円がやや円高に振れていることもあり日経平均は小幅な上昇でのスタートが予想されます。週末を控える中で日経平均が寄り付き後も堅調に推移し上げ幅を広げられるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 マーケット・アナリスト 益嶋 裕)