米ドル/円 日足

週間予想レンジ(3/18週):111.00~113.50            

メインストラテジー:押し目買い

・フラッシュ・クラッシュに対する反動、なお続く可能性
・日銀緩和拡大の思惑で円は売られやすい
・ドルインデックスの保ち合い、クロス円における円安を誘導

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週は小幅切り返し、陽線で大引けした。先々週と同様、2月最終週の大陽線と「インサイド」のサインを形成、これからのブレイクをもって次のステップを示すが、頭打ちより続伸の可能性は強まる。

再度200日線の回復もあって、年初のフラッシュ・クラッシュに対する反動(切り返し)が早晩頭打ちになると推測されるものの、目先なお継続される見通し。

繰り返し指摘してきたとおり、年初来のリバウンドはほぼ順調に進んできた。その上、112円関門の打診をもって目標達成感が強かったため、抵抗密集区域である112円台前半~同後半の高値ゾーンを一旦トライがあっても、本格的なブレイクは容易ではない。一方、先週の再反騰は同メイン抵抗ゾーンのトライに向かう段階として意識されている。

3月5日の高値は3月1日の高値をわずか更新したものの、その後3月8日まで反落。本来先頭打ちのサインとして「フォールス・ブレイクアウト」というサインの点灯が認められ、これから2月15日安値110.25円割れをもって証左されるところだった。しかし、3月14日の大陽線で同可能性が消滅させられ、一転して3月5日高値112.12円を再打診する蓋然性が高まる。

というのは、3月8日~同13日は再度「インサイド」のサインを点灯、14日の大陽線をもって上放れを果たした。終値をもって111円関門を維持した上、再度112円関門に迫るところ、上昇波の進行を示し、8日安値までの反落も途中のスピード調整と見なせる。112円半ばのメイン抵抗ゾーンの打診があれば、113円台後半まで上昇余地を拓くだろう。

注意していただきたいのは、米ドル/円の堅調、また続伸は主要クロス円における円高圧力の緩和に連動する側面は大きい。

ECBのハト派政策のリリースでユーロ対米ドルは一旦急落したものの、その後下落幅をすべて取り戻し、ユーロ対円もつれ高となり受動的な円高は一旦緩和された。英ポンド/円や豪ドル/円なども揃って年初からの切り返しを継続させる模様であり、当面円売り優勢を示唆。

円売りを促す要素として、もっとも大きいのは日銀政策に関する思惑であろう。景気判断の下方修正、緩和拡大の思惑につながり、明白なリスクオフの材料が浮上しない限り、日米政策格差はトレードのテーマとしてしばらく定着する公算が大きい。従って、米ドル/円のV字型回復も続く見通し。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ(3/18週):78.50~80.00            

メインストラテジー:レンジ取引

・年初のクラッシュに対する反動、なお続く可能性
・利下げ観測浮上したものの、豪ドルは底割れを一旦回避
・大型保ち合いの形成、また上放れもあり得る

【図表】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週反騰、先々週の陰線と「インサイド」のサインを形成した。値幅限定だったものの、先週続落を回避したところが大きく、従来のシナリオを一旦修正せざるを得ないかと思う。

というのは、先週のコラム「米ドルはクロス円主導で円高圧力、豪ドル利下げ観測で下降相場を想定」で指摘したとおり、本来、先々週にて一旦78.30円割れが確認され、ベアトレンドへの復帰、即ち続落につながる公算が大きかった。

78.30円は2月21日大陰線の安値に相当し、同安値の割り込みをもって日足における「ダブル・トップ」といったフォーメーションを確立したと見ていた。その証左として2月安値77.42円割れの有無が注目されていた。

しかし、先週77.42円ばかりか終値では一回も78円関門を下回らず、逆に79円大台の回復を果たした。この場合、前記フォーメーションの成立を認めず、むしろ2月から大型変動レンジの形成が有力視される。

つまり、2月21日~3月6日で形成された「インサイド」のサイン、またその後の一時の下放れが「ダマシ」であった可能性は大きく、これからむしろ大型レンジの上限をトライしやすいとみる。

重要なサインとして、2月21日大陰線の意味合いを強調していたのも既述のとおり。同陰線は「弱気リバーサル」のサインを点灯したので、仮に同大陰線の意味合いを「否定」、即ち高値更新した場合、大型変動レンジの上放れを意味する。そのため、80円心理大台のブレイクが想定され、更なる上値余地を拓く見とおし。

この場合、2月6日の大陰線がもたらした一時の反落、またその後大幅の切り返しと同様、総じて大型保ち合いの一環とみなし、先週の値動きは同保ち合いの延長を示唆。前記「ダマシ」の意味合いを重視する場合、今後上放れの可能性を否定できない。

豪利下げ観測の高まりで、本来豪ドル対ドルでもすでに大幅な下値余地を拓いたはずだったが、先週同じく陽線で大引け、米ドル/円の堅調もあって、豪ドル/円の大型変動レンジへの再復帰を促した。週足では、2月第1週の大緯線がその後の週足と「インサイド」のサインを形成、先週の切り返しをもって上放れの可能性が示唆され、前記日足における見方と整合的である。

ただし、利下げ観測が消えない以上、豪ドルの反騰が続いても上値限定の公算が大きい。仮にこれから80円心理大台の打診があっても、前記大型保ち合いの一環として一時に留まる可能性もあるから、要注意であろう。基本的にはあくまでトレンドレスの市況と見なされる。