今週から3月相場も後半戦となる。今年度の権利付き最終売買日まではあと残り6営業日。期末特有の金融機関の売りも一巡し、権利配当取りの動きや配当再投資をにらんだ買いなどが入りやすく需給は改善するだろう。

このところ、特に中国の弱い景気指標を材料に売られることが多かったが、今週は主要な経済指標の発表もない。そうした中、注目点は3つ。

まずなんと言っても、19 - 20日に開催されるFOMC (米連邦公開市場委員会)だ。ドット・チャートを巡って市場がどのような捉え方をするかが鍵だ。これまでパウエル議長自身の発言も含め、FRBからのメッセージは「利上げの停止」だが、問題はいつまで停止するのか、だ。それをドット・チャートで確認することになる。ドット・チャートは中央値をFEDのコンセンサスと市場は慣例的に受け止めているが、これまでの年内利上げ2回のシナリオが、1回になるには、多くのメンバーの見通し引き下げを要する。まして今年の利上げ回数ゼロまで中央値をもっていくのは相当難しい。

また、Longer Run、すなわち長期の見通し(=中立金利)を引き下げるかどうか、そしてバランスシート縮小の年内終了を正式に決めるかどうかにも注目が集まる。9月で終了、と決定すれば前倒し感も出て市場は好感するだろう。まとめると、①年内利上げは従来の2回から1回へと修正されるが、年内利上げなしに傾いている市場はそれには失望する、②しかし、長期見通しの引き下げやバランスシート縮小の年内終了が正式に決定されればポジティブ、これらを総合的に考えれば今週のFOMCは株式市場とって追い風となるだろう。

もうひとつの注目点は21-22日に開催される欧州連合(EU)首脳会議。トゥスク大統領は英国のEU離脱について、少なくとも1年に及ぶ長期の延期を想定しており、今週のEU首脳会議で延期を巡り検討するよう求める考えを示した。英国は先週、「合意なき離脱」を回避することをぎりぎりで可決したが、英政府の想定は3ヶ月程度の延期。それが少なくとも1年延期となれば、再度国民投票の可能性も浮上するだけに、この成り行きからは目が離せない。

そして最後の注目点は20日のマイクロン・テクノロジーの決算発表。今月上旬には、DRAM価格の下落を要因として米調査会社が同社の19年8月期の売上高見通しを引き下げたことで急落し、それが国内ではルネサスの悪材料とも呼応して半導体関連株が総崩れとなった経緯がある。マイクロンの株価はその後持ち直し、急落前の水準を回復している。よって悪材料は織り込み済みだと思われるが念のため警戒したい。

このマイクロンの決算発表も、FOMCも結果がわかるのは翌21日で、その日は春分の日で日本のマーケットは休場だ。となれば、イベントが絡む飛び石連休の前にポジションを手仕舞う動きとなりやすい。下値は配当取りなどで支えられる一方、上値はポジション調整の売りで抑えられるだろう。基本的に、方向感が出ない週となるだろう。

予想レンジは2万1200~2万1750円とする。