先週金曜日の米国株式市場で、ダウ平均が4日続伸し、約1カ月半ぶりの高値で取引を終えた。ダウ平均は前日に既に半値戻しを達成し、さらに上伸した。ブルームバーグが「中国政府が米国からの輸入を大幅に増やして2024年までに対米貿易黒字をゼロにする提案をした」と報じたことなどから米中通商協議の軟着陸の期待が高まった。シカゴCMEの日経平均先物は2万0925円で引けた。週明けの東京市場でも米株の戻り追随機運が高まり、日経平均は2万1000円の大台回復を試す場面も見られるだろう。

今週の重要イベントは中国の経済指標の発表と日銀の金融政策決定会合。週明けの月曜日に中国の10-12月期GDPをはじめ12月の小売売上高、鉱工業生産、都市部固定資産投資などが発表される。日本電産の下方修正に対する市場の反応など、このところの日本株の動きを見ると、中国景気減速というのはほぼ織り込んだ感があるので、悪い数字が出ても動揺は少ないはずである。

日銀の金融政策決定会合では物価見通しの引き下げと金融政策の現状維持が見込まれている。市場の一部に追加緩和期待もあったが、相場が安定を取り戻している以上、そのシナリオは後退しているし、そもそも日銀は手詰まりで動きようがない。現状維持でも市場の反応は限定的と思われる。

米国では、IBM、ジョンソン・エンド・ジョンソン、フォードモーター、プロクター・アンド・ギャンブル、ユナイテッド・テクノロジーズ、インテルなどの決算が予定されているが、決算発表の佳境は来週。日本でも東京製鐵など決算発表が始まるが、本格化するのは来週からだ。1月30~31日には劉鶴副首相が訪米し、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表らとの貿易協議に臨むことも予定されている。

来週は月末月初で指標の発表も多く、ビッグ・イベントも目白押しとなる重要な週だ。今週はその前哨戦、日経平均が2万1000円の大台を回復し、かつ維持して終われるか、注目したい。

予想レンジは2万700円~2万1300円とする。