中国、米中首脳会談で追加関税の先送りを勝ち取る
調整が続く中国株ですが、前回も書いたように底打ち基調になってきているように思います。香港ハンセン指数、香港H株指数は共に50日移動平均線を株価が上抜けてきています。
上海総合指数はまだですが、下げ渋っているチャートであることには変わりありません。香港株が相対的に強い理由は米国の利上げ打ち止め観測が出てきたこともあります。香港ドルは米ドルにペッグ(為替レートを一定に保つ)しているためです。
11月28日にFRBのパウエル議長が政策金利は中立金利の推計値を「やや下回る」水準とコメント。実はその前段階として、クラリダ副議長がここ数週間もっとハト派な発言をしていたのですが、パウエル議長のコメントでようやく市場が大きく反応した形です。
さらにご周知の通り、12月1日(土)に行われた米中首脳会談では、米中首脳が2019年1月1日から予定されていた中国製品2000億ドル相当への関税率の10%から25%への引き上げについて先送りすることを約束し、貿易戦争を激化させないことで合意しました。ホワイトハウスは米中首脳会談が「大成功」だったとしています。
一方で、中国としても今回の米中首脳会談では追加関税の先送りを勝ち取ることができ、まずは成功だったと言えるでしょう。もちろん、90日後に進展がなければ米国が関税率を25%に引き上げるとはしていますが、米中ともに良い結果になったと思います。これまで中国株の重しとなっていた米中貿易摩擦の緩和は中国株にとって大きなプラスと言えるでしょう。
相場の重しが後退、長期視点では今が中国株の買い場
前回(G20に合わせて行われる米中首脳会議で流れが変わるか!?)も書きましたが、中国企業の第3四半期の業績は悪くありません。そして、中国株は米国への資金流出懸念と米中貿易摩擦による景気減速懸念で割安な状態となっています。
たとえば、中国の代表的な保険会社である平安保険(02318)の市場コンセンサス予想を見ると、今期予想PERは12.17倍で配当利回りは3.06%、2020年の予想は予想PER8.7倍で、配当利回りは4.36%です。
今後3年間で考えると年率平均16.5%で成長していく銘柄の今期予想PERが12.17倍ですから、PEGレシオは0.74倍と割安の基準である1倍を下回ります。もちろんこれは平安保険(02318)に限ったことではなく、中国株全般が割安な状況です。
そしてここに来て、状況が展開してきたわけです。つまり、これまで相場の重しとなっていた2つの材料である米国の利上げ見通しと米中貿易摩擦への懸念が後退したわけです。
となれば、企業業績が決して悪くなく、割安に放置されている中国株は反発に向かうと予想します。加えて言えば、中国政府は景気の底上げの為に財政投資拡大と金融緩和に舵を切っていることもあります。
香港ハンセン指数で言えば、まずは9月末につけた直近高値となる28,031.81ポイントを、上昇時に出来高を増しながら力強く超えていく流れになるかどうかに注目します。
下落トレンドの定義は直近高値を超えられず、直近安値を更新していく流れであり、上昇トレンドの定義は逆で直近安値を下回らず、直近高値を超えていく流れだからです。
28,031.81ポイントを超えていく流れになるとチャート的には更に底打ち感が強まります。ともあれ、やはり、長期的な株価上昇に視点を置けば、今のタイミングは2015年~2016年の中国株急落時のような買い場だと思います。