第3四半期における中国企業の業績は悪くない

引き続き調整局面が続く中国株ですが、数ヶ月タームの中期的な視点で見ると、株価は下げ渋っている印象があります。そして、上海総合指数やハンセン指数は未だですが、先週は創業板指数が50日移動平均線を株価が上抜けてきました。

また、11月14日には香港市場では時価総額最大のテンセント(00700)の第3四半期の業績が発表されました。売上が24%増の806億元、純利益が30%増の233億元で、売上は予想通りでしたが、純利益は市場予想を20%以上上回りました。

中国を代表するIT企業である同社ですが、依然としてオンラインゲームが主力事業です。ところが中国当局がオンラインゲームを規制してきている中で、新しいゲームの承認が遅れて業績の伸び率鈍化につながり、株価は大きく下落してきました。しかし、第3四半期はオンライン広告の売上が47%増と大きく伸び、成長ドライバーとなって予想を超える業績を発表し、株価はその後上昇しています。

テンセント(00700)もそうですが、中国企業の第3四半期の業績は、大きく低迷する株価ほど悪くはありません。

テンセント(00700)に次ぐ時価総額を持つ、中国最大の銀行である中国工商銀行(01398)の第3四半期の業績は経常収益が5.3%増の1,786億元、純利益が5.6%増の792億元と小幅ながら増収増益となりました。市場コンセンサス予想を見れば、2021年まで毎年小幅な増収増益が続く見通しです。市場コンセンサスによると、中国工商銀行(01398)の今期予想PERは5.7倍、予想配当利回りは5.3%です。

一方、中国を代表するインフラ建設大手の一社である中国交通建設(01800)の2018年1~9月の業績は売上が6.9%増の3,285億元、純利益が9.7%増の129億元であり、こちらも市場コンセンサスを見ると、2020年まで毎年業績が堅調に増収増益を続ける見込みとなっています。市場コンセンサスによると中国交通建設(01800)の今期予想PERは5.57倍、予想配当利回りは3.5%です。

現在の中国株は割安域、底打ち反転を待つ段階に

もちろん、中には減収減益となっている企業もあり、足下の利益の伸び率は減速傾向であることは否めません。

しかし、それでも中国国家統計局発表の中国の工業セクターの企業利益を見ると2018年1~9月の伸び率は14.7%増となっています。さらに言えば、中国当局は米国との通商問題による経済への悪影響を緩和するために金融緩和と財政投資に動いており、第4四半期はインフラ投資の加速が期待できるところでもあります。

このように、業績面と株価のバリュエーション面から見ると、現在の中国株は割安域に入っており、底打ち反転を待つ段階にあると思います。

今後で期待したいのはやはり月末からアルゼンチンのブエノスアイレスで行われるG20に合わせて計画されている米中首脳会議でしょうか。これに向けて両国の政府は幅広いレベルでの接触を再開したと報じられています。

むろん、米国のペンス副大統領が、中国がやり方を改めるまで方針を変えるつもりはないと言明するなどしているあたりからも、今回の首脳会議で完全解決は期待しにくいかもしれません。としても、何らかの転機を見いだせれば、年末に向けた反発基調に転じられる可能性もあると見ています。