DeepMacroのNFP予測が20万人増というのは心強いが、若干気になる部分もある。新規求人、新規採用ともに減速している点である。これは昨日全米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した4月の製造業景況感指数の低下とリンクしている。ISM景況感指数は前月から2.0ポイント低下して57.3だった。2カ月連続の低下とはいえ、依然50を大きく上回る高水準であり、かつ重要項目の「新規受注」の低下幅はわずか0.7ポイントで、極めて良好であることを示す60台を維持していることなどから、すぐに米国景気が変調をきたすような懸念はない。

しかし、同じく重要項目の「雇用」は2月の59.7をピークに3月は57.3、4月は54.2と2カ月続けて大きな落ち込みとなった。昨年の8月と10月につけた59.8が今回の回復局面のピークであり、雇用状況はピークアウトしつつあるように見える。振れの大きなNFPの数字を単月でとらえて云々することに意味はないが、その趨勢には注目するべきである。

いずれにせよ、米国の労働市場は完全雇用に近い状況にあるわけで、雇用者数の伸びがどこかの時点で鈍化し始めるのは当然のことである。問題は、その雇用の伸び鈍化がどんな要因によるかを見極めることであり、その意味で、新規求人とその枠の埋まり具合(新規採用)のデータはますます重要になってくるだろう。採用難で雇用が減っているのか、それとも企業の求人自体が減少して雇用が伸びないのかでは、まるで状況が違うからである。

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DeepMacro NPF予測はコンセンサスを上回るも、雇用活動は減速

ビッグデータを活用したDeepMacro予測は、4月の民間NFPを20.9万人増と予測している。これは先月の低い結果からの回復を意味し、4月30日時点のコンセンサス予想である19.4万人増を若干上回っている。したがって、現時点での雇用統計に関する短期的なトレーディング戦略は、金利(債券)の売り、米ドルの買い、S&P500の売り、となる。

一方で、4月のDeepMacro予測はここ数ヶ月の予測を下回っている。その理由はFigure 1が示す通りだ。雇用活動全般が、新規求人、新規採用(推定値)ともにかなり減速してきているのである。新規求人数は1年前の水準あたりを推移している。新規採用数に関しては、上昇はしているものの、その伸びは昨年末につけたピークの水準を大きく下回っている。

雇用統計の結果は(景気サイクルの全般的な強さなどを示す)「DeepMacro成長ファクター」に対する重要なインプットの一つであるが、他にも成長ファクターに影響するインプットは多数存在している。3月の雇用統計レポートが発表されて、成長ファクターは大きく下落したが、その後、他のデータが発表されるにつれ、この下落分のほとんどは取り戻された。結果として、現時点の成長ファクターは、金利上昇、米ドル高の方向性を示す水準を維持している

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