12月は株高になることが多い「アノマリー」

「アノマリー」という言葉をご存じでしょうか。明確な根拠がなく理論的に説明はできないものの、マーケットで頻繁に起きるとされている事象を意味しています。例えば、5月以降は株価が下落しやすいと言われる「Sell in May(5月に株を売れ)」や、10月末に株を買えばその後のパフォーマンスが好調とされる「ハロウィン効果」、「節分(2月3日)天井、彼岸(3月20日)底」などが知られています。

それらと同様によく知られているのが「掉尾の一振(とうびのいっしん)」や「年末ラリー」として知られる「年末にかけて株高になる傾向がある」というアノマリーです。まず、本当に年末に株高になるアノマリーがあるのか検証してみました。以下の表1は日経平均やTOPIXといった主要指数および東証の規模別株価指数の過去10年間の12月の騰落率です。

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表をご覧いただくと日経平均は過去10年で7回、東証マザーズは8回も12月に上昇しています。過去10年の12月の平均騰落率はどの指数を見てもプラスになっており、年末株高のアノマリーはまずまず実現しています。規模別指数を見ると大型株指数は10年で上昇が6回にとどまっているのに対し、中型株指数と小型株指数は8年で上昇しておりやや中小型株有利と言えるかもしれません。もちろん今年もアノマリー通りになるかはわかりませんが、ぜひ今年も年末株高が実現してほしいと思います。

12月の好パフォーマンス銘柄は

さてここからは毎月ご紹介している過去のその月の好調銘柄をご紹介していきます。今月も東証1部・2部・マザーズ上場銘柄のうち、過去10年間の株価データを取得できた1,886銘柄について、11月末と12月末の株価を比較した騰落回数を算出しました。表2、表3の通り、過去10年間12月に10年とも上昇した銘柄が12銘柄ある一方で12月に1度も上昇していない銘柄も8銘柄ありました。それぞれご紹介していきます。

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表2に示したように過去10年間12月にすべて上昇したのがナガワ(9663)、テクノアソシエ(8249)、IDEC(6652)、タカショー(7590)、鹿島(1812)、松屋フーズ(9887)、青山商事(8219)、大崎電気工業(6644)、幸楽苑ホールディングス(7554)、リンガーハット(8200)、セントラルスポーツ(4801)、伊藤忠食品(2692)の12銘柄です。中でもユニットハウス大手のナガワは過去10年の平均上昇率が9.9%と10%近い好リターンです。

逆に過去10年12月に1度も上昇していないのが表3に示したエス・サイエンス(5721)、ソルクシーズ(4284)、ペッパーフードサービス(3053)、エムスリー(2413)、三光マーケティングフーズ(2762)、東急レクリエーション(9631)、グリーンランドリゾート(9656)、東海汽船(9173)の8銘柄です。

筆者にとって非常に意外だったのがこのリストの中にエムスリーが入っていたことです。エムスリーは医療従事者向けの情報提供を行っており、長年高成長を続けてきました。成長株の代表とも呼べるような銘柄で、アベノミクス相場が始まった2012年末の株価が689円だったのに対し、現在は3,690円まで5倍以上に値上がりしています。そんなエムスリーが過去10年12月に1度も上昇していないのです。さて、今年も過去の傾向通りとなるのでしょうか。ぜひ12月の好調銘柄・不調銘柄とも株価をウォッチいただければ幸いです。

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先月紹介した銘柄の成績は?

最後に先月のレポートで記した「過去の11月の好調銘柄」の結果をご紹介します。11月2日のレポートでは、過去10年で11月に10回または9回上昇した銘柄として15銘柄をご紹介しました。各銘柄の今年の11月の成績は表4に示したとおりです。15銘柄のうち、上昇したのが6銘柄、下落したのが9銘柄となりました。過去10年すべて上昇していた東芝機械(6104)は今年も上昇し、月間で13%以上の好リターンとなりました。15銘柄の平均騰落率は+1.2%と一応プラスリターンとなりましたが、リストに3銘柄含まれていた地域銀行株が特に冴えなかったことなどから、全体としては物足りない結果となりました。また、同じく11月2日のレポートでご紹介した「過去の11月の不調銘柄」は表5に示した通り4銘柄中3銘柄が下落しました。

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