冴えないマーケット

日本株の冴えない推移が続いています。日本・米国・ドイツ・中国の4カ国の株価パフォーマンスを比較すると、昨年末と比べて日経平均は20%近く下落しておりパフォーマンスは4カ国中ワーストです(図表1参照)。また、英国のEU離脱国民投票の結果が出る前日の6月23日と比較しても5%超下落してドイツに次いでワースト2位となっています(図表2参照)。

このように大きく下落した日本株は、様々なバリュエーション指標からみると数年来の割安水準にあります。7月6日時点で日経平均の予想PERは12.9倍、PBRは1.05倍、東証1部の予想配当利回りは2.32%です。図表3・4・5に示したように、各指標はほぼアベノミクス相場が始まる前の水準まで低下(配当利回りは上昇)しています。それではここまで日本株が売られているのはなぜなのでしょうか?


おそらく日本株のパフォーマンスが冴えない最大の原因は円高進行による企業業績の下方修正懸念でしょう。昨年末に120円程度だったドル/円は100円近くまで、130円程度だったユーロ/円は111円近くまで円高に振れています。
 今期の企業の想定為替レートを調べてみました。東証1部上場の3月末決算企業で、データを取得てきた東証1部の336社の平均想定ドル/円レートは110.4円と現在の水準よりも大幅に円安です(想定レート別の主要企業は図表6参照)。もちろん円高が業績の追い風になる企業もありますが、全体としては円高の進行は企業業績の下押し圧力となります。市場はまもなく始まる4-6月期の決算発表で業績動向を見極めたいといったところなのかもしれません。

内需好調・外需不調が鮮明に

このような状況のもと、市場では業績不透明な外需株や金融株を避け内需ディフェンシブセクターを選好する動きが鮮明です。図表7は2015年末と7月6日を比べた東証33業種の騰落率です。全業種が下落していますが、TOPIXが20%以上下落しているのに対し、食料品、情報・通信、建設、水産・農林、サービス、陸運、小売などの内需セクターが相対的に堅調であることがわかります。一方、銀行、証券、保険などの金融セクターや輸送用機器、海運などの外需セクターは冴えないパフォーマンスとなっています。

もちろんずっとこの傾向が続くわけはなく、円高進行に歯止めがかかり市場センチメントが好転すれば好不調セクターのパフォーマンスは逆転する可能性も十分あります。ただ、そのためには政府の財政出動や日銀の追加緩和、世界の金融市場の落ち着きなどが条件になりそうで、時間がかかるかもしれません。そこで本日の銘柄フォーカスでは、上記で紹介した内需セクターの中で業績は堅調にもかかわらず株価が出遅れている銘柄をピックアップしてご紹介します。

内需セクターで業績堅調も出遅れ・割安な銘柄は

具体的な選定条件は以下のとおりです。
<選定条件>
・東証33業種の分類が「食料品」「情報・通信」「建設」「水産・農林」「サービス」「陸運」「小売」のいずれか
・昨年末と7月6日の株価を比較した騰落率が属する業種の平均以下
・通期業績が、前期・今期予想(会社予想ベース)とも増収増益
・予想PERが東証1部の平均14倍以下
・PBRが1倍以下
・予想配当利回り2%以上


・予想1株当たり配当、予想売上高、予想営業利益は会社発表値を利用
・予想配当利回りは(予想1株当たり配当÷7月6日終値)で計算
・予想PER、実績PBRは7月6日時点のQUICKデータを利用