株価への影響が非常に大きい企業自身の業績予想

3月決算企業の決算発表が佳境をむかえています。決算発表シーズンということで、前回の銘柄フォーカスでは企業の決算短信を3ヶ月ごとに区切ってチェックする方法をご紹介しました。本日の銘柄フォーカスでは、株価への影響が非常に大きい「企業自身の業績予想」についてご紹介します。

原則として企業は自社の業績予想を発表する

日本企業は原則として、期初にその期の業績予想を発表します。「原則として」としているのは、証券会社など市況等の影響が特に大きく業績予想を発表することが困難な一部の企業は予想を発表しない場合もあるためです。
企業の発表する業績予想は非常に重要な情報として大きく注目され、業績予想次第で株価が大きく動くことがあります。企業は自社の業績の先行きについて最も情報を多く持っている主体であり、予想の確度が高いと考えられているからかもしれません。
例えば昨日(5月11日)の大引け後に、トヨタ自動車(7203)は2016年3月期の業績実績と2017年3月期の業績予想を発表しました。2016年3月期は増収増益を達成しましたが、2017年3月期の予想を減収減益と発表し、特に営業利益の減収率が前期比40%超と大幅な業績悪化予想を発表したことで本日(5月12日)の株価は前場終了時点で約3%安と売られています。

業績予想の修正でも株価は大きく動く

このように非常に重要視される企業の業績予想ですが、当初の業績予想の発表時点だけでなくその後も注目をあつめる場合があります。それは企業が業績の進捗によって、業績予想を修正する場合があるからです。
例えば歯みがきなどで知られるライオン(4912)は、5月9日に第1四半期の業績発表と同時に中間期や通期の業績予想を上方修正しました。ライオンは12月決算を採用しているので1-3月期はまだ最初の3ヶ月というわけですが、国内の一般用消費財の販売が想定以上に好調に推移していることから業績の上方修正に踏み切ったようです。上方修正を受け発表翌日に株価は13%超の大幅上昇となりました。日本企業は保守的で業績予想を控えめに見積もることが多いとされていますが、第1四半期時点で業績予想を上方修正したライオンの強気な姿勢を見て、市場はさらなる業績拡大を期待したのかもしれません。

増益予想や上方修正でも株価が下落する理由

ライオンの場合のように業績予想が上方修正されたら株価は上昇することもあれば、上方修正されても株安になる場合もあります。その理由の1つとして、事前にわかっているアナリストの業績予想コンセンサスとの比較で企業の予想が物足りないという場合があるようです。例えば会社が発表した業績予想は15%の営業増益予想に上方修正したとしても、アナリストコンセンサスが20%の営業増益予想だった場合には、「なんだ、思ったより業績は伸びないのか・・・」と失望を誘って株価が下がる場合があるということです。
最後にマネックス証券の無料投資情報を使って、業績についてのアナリストコンセンサスを確認する方法をご紹介します。マネックス証券でご提供している「決算&業績予想」というウェブツールを使うと、以下の様な情報をご確認いただけます。

<決算&業績予想で主にできること>
・企業の決算発表スケジュールや決算内容のアナリスト予想を確認
・業績の会社予想に対する進捗状況の確認
・企業のレーティングや目標株価コンセンサスを確認
・過去の適時開示情報の確認

以下は「決算&業績予想」におけるトヨタ自動車についての情報です。緑色の背景で示されている「201703(連結)コンセンサス」という部分が、同ツールの提供元であるアイフィス社が集計したアナリストの予想のコンセンサスです。「営業利益」を見ていただくと、2017年3月期のアナリストコンセンサスが2兆6719億円だったのに対し、会社の予想は上述したように1兆7000億円と大幅に下回る弱気なものだったことが確認できます。「決算&業績予想」はマネックス証券にログインして、「ツール(プレミアムウェブ)」というページにアクセスすればどなたでも無料でご利用いただけます。ぜひ活用していただければ幸いです。

なお、本レポートでご説明した内容はこちらのセミナーでも詳しくご説明しておりますので、ご覧いただければ幸いです。