先週の中国株ですが、上海総合指数は続伸、深セン総合指数、創業板指数は続落、香港ハンセン指数は反発となりました。中国本土市場では、引き続き金融緩和期待から銀行株が買われた他、金融緩和の恩恵を受けやすい大手国営企業株が買われ、相場を牽引しました。一方で、これまで相場を牽引してきたITや環境、製薬関連は引き続き軟調な地合となり、中小型株が多い深セン総合指数や創業板指数の軟調につながっています。その要因の1つが、12月19日(金)に、中国証券監督管理委員会(CSRC)が中国本土A株に上場する18銘柄に関する相場操縦の疑いで法人や個人を対象に調査を開始したと報道されたことです。証券株もこの影響で一時急落しました。

中国の経済指標については12月27日(土)に11月の中国工業企業の利益が発表されましたが、10月の実績が前年同月比2.1%減だったのに対し、11月は4.2%減とマイナス幅が拡大しました。これにより1-10月の累計利益は前年同期比6.7%増だったのに対し、1-11月は5.3%増までスローダウンしています。この工業利益に限らず、最近の中国の経済指標は非常に弱い数字が続いています。しかしこれは追加金融緩和や景気刺激策への期待を拡大させる形となり、株式市場にとってはプラスに働いています。そして実際のところ、追加金融緩和や景気刺激策実施への動きが出てきています。先週は、中国人民銀行が預貸率を大幅に緩和し、貸し出しの余地を拡げる方針であると報道されました。

一方、クリスマス休暇で3営業日の取引となった香港株も先週は反発しています。米国FRBが17日に発表した声明で、利上げを急がない方針が確認されたことが引き続き好感された上、中国本土株の上昇により中国の大手国営企業の株価が上昇して株価を牽引しました。やはり通貨を米ドルにペッグしている香港の場合、米国の金利動向は重要になってきます。しかし、いまのところ、米国は金利期引き上げを急がない方向を示しましたし、中国本土株の高騰が続いていますので、年始にかけては、引き続き株価の回復が期待されるところです。なお、今後の中国の経済指標の発表予定ですが、12月31日(水)に12月のHSBCの中国製造業景況感指数(確報値)、1月1日(木)に12月の中国公式製造業景況感指数、1月3日(土)に12月の中国公式非製造業景況感指数が発表となります。

これで今年の配信は最後となります。本年もご愛読のほど誠にありがとうございました。2015年は中国の金融緩和が一段と進む見通しで、いよいよ香港株もその恩恵を受け、躍進する年と予想しております。来年も引き続き宜しくお願い致します。

コラム執筆:戸松信博