米国市場ではダウ平均が26,000ドル台に乗せてきました。26,000ドル前後の水準というのは、チャート上では大きな節目となります。たとえば、株価の上昇や下落を一つ一つの波のようにとらえる方法がありますが、この考え方で行くと、リーマンショック直後に付けた安値(6,547ドル)から2011年4月高値(12,810ドル)までの上昇幅6,263ドルを「上昇第1波」とします。2011年10月安値(10,655ドル)から2015年5月高値(18,312ドル)までの上昇幅7,657ドルを「上昇第2波」と考えます。2015年5月高値を付けたあとは、中国の人民元ショックをきかっけに波乱相場がしばらく続きました。その間の安値となった2016年2月安値(15,660ドル)を起点に、今の「上昇第3波」が続いていると考えます。
そうすると、次の上値の目安は、上昇第2波の値幅が「もうひと回転」する25,969ドルや、2015年5月高値から2016年2月安値までの下落幅2,652ドルの4倍返しで26,268ドルとなります。多少の上振れはあるでしょうけれど、簡単な値幅分析で考えると、そろそろ頭打ちになりやすい水準なのかもしれません。
懸念材料もあります。米国の長期金利(10年債利回り)がじりじりと上昇してきました。2月に向けて上昇が続く可能性が高いとみています。もし、加速するような動きになれば、米国株の調整のきっかけになるかもしれません。しかし、過去、長期金利が1993年10月の5%前半から1994年11月に8%程度まで急上昇したとき、米主要企業500社で構成される株価指数のS&P500は多少の波乱はあったものの、結局は下げませんでした。それ以降の金利の短期的な中間反騰局面でも、株価が同じタイミングで下げたことはほとんどありません。
ですから、今から3%を一時上回るような上昇があったとしても、それはスピードの問題であって、緩やかに上昇する程度なら、株価は織り込みながら落ち着いた動きになることが予想されます。ただ、長期的に低下基調にある長期金利の動きは、明らかに変わった可能性が高いと思います。この先、需給に変調をきたし、コントロールできないぐらいジリ高基調が続くようだと、減税による企業業績以外のところでは、自動車や住宅ローン金利の上昇などを通じて景気には悪影響です。
株価は景気に3カ月~半年程度先行する傾向が強いといわれます。いまや、青天井で上昇を続けるダウ平均の終焉がいつになるかは想定しづらいですが、やはり、そのきっかけとなる骨太の材料は景気モメンタムの変化ということになるでしょう。確かに、短期的な長期金利の動向もリスクであり重要なのですが、チャート分析専門の筆者にとっては、長期的な下向きのトレンドが上向きに変わり始めた?今の姿が不気味にみえます。
東野幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ
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