筆者から皆様にお知らせがあります!
私が所属している非営利団体・日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)では、「テクニカル分析についてもっと学びたい」という読者の方々のために、有名な「ボリンジャーバンド」の開発者であるジョン・ボリンジャー氏を、東京(11月18日土曜日)と大阪(11月25日土曜日)にお招きし、セミナーを開催いたします。日本語の通訳つきです。
ボリンジャー氏が自ら開発した「武器」を使って日本株を分析すると、どのように映るのでしょうか?今後は上昇でしょうか、それとも下落でしょうか。実は、筆者もボリンジャー氏を囲むパネルディスカッションのパネラーとして参加し、意見させていただきます。
ご興味のある方は、こちらから、ぜひお申し込みください。 http://www.ntaa.or.jp/mw_wp/jb-conference(外部サイトへ遷移します)
※詳細につきましては、当協会ホームページにてご案内しております。

さて、「 第472回 やっかいな押し目」でもお話いたしましたが、今年に入ってからの東証1部の売買代金を日経平均株価の200円刻みの価格帯で分けると、最も多く積み上がっているのが19,900円~20,100円の水準(15日現在で81兆円)です。つまり、その水準からは戻ったら売りたいと思う投資家が多く、いわゆる「上値抵抗帯」になりやすかったわけですが、アメリカの長期金利の上昇や円安に加え、国内では衆議院解散の観測といった刺激材料が追い風となり、日経平均株価は週明け早々に「上値抵抗帯」をあっさりと突破しました。そうなると今度はどうなるかというと、逆に下げたら買いたいと思う投資家が増え、19,900円~20,100円の水準が「下値支持帯」に変わることが予想されます。
これは出来高分析上の需給の改善といえるわけですが、もう1つ来週にかけて特別な需給要因が発生します。
9月末といえば、中間配当取りの買いが入りやすいことです。特に今年は北朝鮮リスクで手控えがあったことや、この急速な反発局面についていけてないと思われ、FOMC通過後に米国株が逆方向に動かなければ、買い物は入ってくる可能性が高いとみられます。
また、来週は年金資金などTOPIX(東証株価指数)をベンチマークとする大口投資家による「配当再投資の買い」などが見込まれます。「配当再投資の買い」とは、年金資金などを運用・管理する信託銀行などが、運用ポートフォリオに占める株式資産の配当落ちによる目減りを補うため、機械的に買いを入れることです。配当金を実際に受け取るのは2~3カ月あとなので、目減り分相当額を先物買いで埋めることになります。3月の最終週も同じような買いが入ります。
過去9月最終週の信託銀行による先物の手口(TOPIX先物のみ)をみますと、2010年は1,649億円買い越し、2011年は1,992億円買い越し、2012年1,795億円買い越し、2013年1,674億円買い越し、2014年1,768億円買い越し、2015年3,181億円買い越し、2016年3,000億円買い越しでした。同じく今年も権利付き最終日(26日)や翌営業日などに買いが見込まれるため、海外株式の上昇、円安といった日本株にとって追い風の吹く環境が続けば、相場を勢い付かせる要因になるかもしれません。
今年の配当落ち分はTOPIXで13.5P程度と見込まれており、15日現在のTOPIX(1638.94P)の0.82%に相当します。TOPIXに連動する資産が世の中に38兆円あるとした場合、3,100億円(38兆円×0.82%)程度が目減りする計算になるため、その分が先物買い需要になるということになります。

東野 幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ