米国株式市場ではナスダックの上昇が目立っています。最近では、アメリカの動画配信サービスを手掛けるネットフリックスの決算などが材料となり、再び騰勢を強める動きになりました。物色が連動しやすい東京株式市場でも、ハイテク株が買われやすい地合いですが、先週あたりからは電子ハイテク材料に強みの化学や非鉄金属(ここは市況改善もある)にまで物色が広がってきており、短期的には日米ともにハイテク株全般に伸び悩む公算が大きい。
逆に、強くなりそうなのは景気敏感株。25日は米キャタピラーが大幅に上昇しました(前日比5.8%上昇)、売上高と利益が市場予想を上回ったほか、通期見通しを引き上げたようです。2012年につけた史上最高値116.95ドルが視野に入ってきました。新興国市場中心に景気の堅調を意識しているような気がします。25日は米長期金利も急上昇し、チャートでは目の覚めるような陽線を形成しましたよ。
ドル/円相場は、111円割れまであっさり円高方向に調整が進みましたが、フィボナッチ級数の「233」日移動平均線(110.60円程度)で下げ止まるでしょうか。

さて、今週から国内企業の4-6月期の決算発表が本格化しています。今は人工知能(AI)を駆使し決算短信を読み込むのが速くなったせいか、株価の反動も超機敏。凪相場に慣れさせられた個人投資家はとてもその速さについていけず、業績の良し悪しよりも値動きのよさだけに便乗する決算プレーの短期売買が増加することが見込まれます。ヘッジファンドのタイプでも比較的多い、株式ロング・ショート系のパフォーマンスが5月以降やや持ち直してきていることから、決算を材料にした売買にも積極参戦しやすい。しかし、今回の筆者が注目したいのはそういった短期資金ではなく、一度買ったらしばらく売らない長期資金の動向です。証券会社のアナリストによる企業決算発表前のプレビューリポートがなくなり、機関投資家の資金流入も発表後に偏るものと思われます。先週、好決算を発表してから上場来高値更新を続ける安川電機のように、4-6月決算時点で通期見通しを強気に出してくる企業はそんなに多くはないと思いますが、決算で現状の割安なバリュエーションさえ確認できれば、株価上昇を見越した買い方をしてくる可能性が高いとみています。「今でも割安なのはわかっている」「でも、どうせ期初の4-6月決算だから通期見通しは控えめだ」と静観するものの、安川電機のように強気見通しが増えてくると、アメリカ株が史上最高値を更新する中、焦って買い出すのではないかとの見立てです。最も、国内勢よりも先に日本株をオーバーウェートする黒船(海外の年金基金)の出現が予想されますが、年末にかけては景況感の改善に円安方向への反転が味方になることで、企業業績への期待(1株利益の上方修正期待)が高まってくるのではないかと思っております。

東野 幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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