日経平均の17,000円超え維持は簡単ではありませんでした。前々回、年初から8月末までの東証1部の価格帯別累積売買代金(過去に売買が成立した売買代金を価格帯ごとに集計したもの)をご紹介したところで、16,500円~17,000円には138兆円(9/26現在では160兆円)とその前後の価格帯に比べて多く積み上がっているため、17,000円を上回ると上値が軽くなる可能性が高いとコメントしました。しかし、実際には16,500円を下回る場面があるなど、日米の金融イベントを終えたあとも不安定な流れが続いています。16,500円を明確に下回ってくると、戻りが一段と鈍くなるとみられます。

前回の「米国株の下値メド」のところでもご案内いたしましたが、日本株でも相場の長期トレンドが上向きなのか、下向きなのかを判断するのに、一般的には200日移動平均線の傾きで判断します。日経平均は9月上旬に下向きの200日線(16,836円、9/26現在)で頭打ちとなり、25日線(16,718円、9/26現在)を下回っている状況にあります。25日線の傾きは株価の短期的な動きによって、頻繁に上向いたり、下向いたりするため、さほど気にする必要はありませんが、200日線は株価の短期的な動きで傾きが変わるものではなく、今回のように下向きの力が強いと、株価の上値のフシになりやすく、自然体ではなかなか上回ることができません。今から200日前は昨年12月上旬ごろであり、当時は2万円を下回ったばかりのころ。現在の株価水準よりもかなり高いため、株価がここから爆騰し2万円を超えてくれば話は別ですが、足元の200日線が上向きに転じることは難しいと思われます。

ただ、思い出してみると、昨年12月上旬から約2カ月で株価は3,000円下落し、約3カ月で5,000円下落しました。ということは、いまから約2カ月~3カ月以内に、200日前よりも現在の株価の方が高くなる場面がくるかもしれません。あくまでも株価が今の水準で踏みとどまっていればの話なのですが、200日線が上向きに変わっていけば、今よりも上方向の抵抗は弱くなると思います。これが日柄調整の原理原則です。なので、「酒田五法」にも出てくるように、今は「休むも相場」の局面なのかもしれません。

一方、休んでばかりもいられません。米国には、"Sell in May and go away; don't come back until St Leger Day."「5月に手仕舞いして(相場から)撤退せよ、セント・レジャー・デー(9月の第2土曜日)まで戻ってくるな」という相場格言があります。5月になると経済番組や新聞などで目にすることは多いですが、なぜか、買い場のチャンスとなる9月や10月に話題になることはほとんどありません。株安で身動きが取れない状況のときに、「昔からある格言などには頼っていられない、そんなもん当てにならない!」ということなのでしょうか。

しかし、検証結果は見事にそれを裏付けています。仮に、1996年から今年4月までの約20年間、10月から5月まで米国のS&P500で運用し、6月から9月までは持ち株がないという投資方法を続けた場合、累積リターンで400%、年率で8.24%となり、実際のS&P500の通年累積リターン235%、年率6.13%を大きく上回るパフォーマンスになります。一方、6月から9月までS&P500で運用し、10月から5月までは持ち株がないという投資方法を続けた場合、累積リターン-33%、年率-1.94%とマイナスになります。

このまま10月前半までは材料不足になりますが、果たして、買い場と感じる場面があるでしょうか。実際、これからチャレンジ(買い参入)してみるのも、経験値を高めるためにはよい方法でしょう。

この場をお借りして、筆者からお知らせがあります。このたび、総合投資情報サイト「トレーダーズ・ウェブ」を運営している株式会社DZHフィナンシャルリサーチ主催で、一般投資家向け無料セミナーを10月15日(土)14時30分より開催いたします。
「これからどうなる日本株」~4年連続成功した10月買いが5年目も有効な理由、次の有望銘柄はこれだ!~と題し、日本株やドル/円相場は2017年にかけてどのような展開が予想されるかを中立的な立場から分析を行い、わかりやすくご説明いたします。
内容は、1)日経平均とドル/円のテクニカル判断、2)上昇第2ラウンド目に入ったマザーズ市場、3)オイルマネーが日本株買いを再開、4)日銀黒田総裁の「ETF買い」の変化、5)ヘッジファンドが仕掛ける日本のハイテク株などを中心に、じっくりと解説いたします。普段、お仕事のご都合で平日の株式セミナーに参加できない方は、是非この機会に参加してください。なお、当日は参加された方から銘柄相談の日時を予約・受付する予定です。

セミナーの詳細やお申し込みは、以下のURLからお願いいたします。
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東野 幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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