モノが売れない円安頼みの業績改善には警戒が必要です。決算発表を終えたキヤノン(7751)や任天堂(7974)の米ADRは、昨晩の米国市場で大幅に下げてしまいました。それを受けて、東京市場では両銘柄の売り気配スタートはほぼ確定だったのですが、実際のところ売り気配は長く続かず、すんなりと寄り付きました。好地合いあっての動きだと思います。
キヤノンは今期の業績を上方修正しましたが、市場のコンセンサスにとどかず。ドル円の想定は95円、ここから円高に反転すると直ぐにでも下回るのでは・・・といった感覚を持ちながら、電車の中で新聞をみていました。2期連続で営業赤字となった任天堂(7974)は今期に託すも、「ほんまかいなぁ」といった目標の高さ。
今日の東京市場の寄り付きでは、主力株への買いが少し引っ込んだような気がします。
富士通ゼネラル(6755)は空調機が日欧で低迷したものの、防災無線の伸びで前期は4期連続で過去最高益、しかも増配。今期は為替差益見込まずとのことで減益見通し・・・それが売られた要因なのか? でも、新聞記事によると欧州の空調機販売は回復しているとの社長のコメント付き。しかも、空調機は全量を海外生産しているため、円安を80億円近い減益要因になる模様です。今後、円高への反転局面では押し目買い候補の一つになるかもしれません。
株価は1990年6月高値1,460円を起点とした右下がりの長期上値抵抗線、2007年10月の戻り高値804円などを一気に上回る展開となりました。戻り高値を更新するぐらいだから何かあるはず、だと思います。
さて、米国市場に目を移すと、アップルの株価が低迷するなか、インテルの株価が堅調に推移しております。そのほか、NASDAQに採用されている時価総額上位のマイクロソフトやグーグルなども。アップルはそろそろ小勢ぐらいの反発局面に入るでしょうから、米IT・ハイテク発の動きは注目です。
今日の日経新聞には、半導体用のリードフレーム材が6ヶ月連続で上昇しているといった記事がありました。連想で、日立金属(5486)、日本高純度化学(4973)などは悪くない動きだし、インテルの上昇で半導体関連が近い将来より注目されるとみれば、イビデン(4062)や新光電気工業(6967)。両者とも、リーマンショック後の高値からはまだ半分以下の水準です。
東野幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ