何度かご紹介したことがある「新値足」は、時間の概念を無視してトレンドをとらえる手法です。上昇トレンドなら終値ベースで高値を更新すれば陽線を追加、下落トレンドなら終値ベースで安値を更新すれば陰線を追加していく。テクニカル指標では比較的簡単に見られるものです。
トレンドの変化は、陽線から陰線、陰線から陽線に変わるタイミングで認識します。その反転の見方と基準が重要なのですが、新値3本足の場合には直近の陽線・陰線を3本つつみ込む動きがあったときに、陽線から陰線、陰線から陽線に変わります。反転基準とする本数が長ければ信頼性が高くなります。しかし、あまり長すぎても、逆にトレンド転換の認識が遅くなるので、10本ぐらいが適度だと思います。ただ、10本では短期投資家にはあまりにも遅いシグナルになってしまうので、中長期投資に適したものなのかもしれません。
新値10本足の場合、直近の陽線・陰線を10本包みこむ値動きがあったときに、陽線から陰線、陰線から陽線に変化します。例えば、3本足の場合は陽転してもダマシ(すぐに陰転する)に合う可能性が結構ありますが、10本足が変化すると当面はその方向に流れが続きやすい・・・とよく教えられました。
さて、日経平均は2011年11月25日の安値を起点に順調に上昇基調を続けていますが、コア30銘柄に限って、新値10本足がどの状況にあるかを見てみました。
コマツ(6301)は10月27日に陽転したあとは、何本か陽線が続いています。足元の反発局面で陽転したのはトヨタ自動車(7203)です。
まだ、陽転するまで相当上昇しなければいけない銘柄も多いのですが、陽転に近いところでいきますと、ホンダ(7267)の2569円、三菱UFJFG(8306)の365円、三井住友FG(8316)の2259円、みずほFG(8411)の114円、野村HD(8604)の281円ぐらいでしょうか。それぞれを終値で上回れば陽転です。例えば、今日の動きでいくと、三井住友FGが陽転なるか、といったところでしょうか。
三井住友FGのリーマン・ショック後の安値からの反発局面では、陽転した局面が3回ありました。2010年11月18日の陽転から続くこと16本陽線。11年2月14日の陽転から4本陽線。11年7月1日の陽転から3本陽線が続きました。
今回陽転すれば買いが有効になる可能性大です。3本~4本にとどまらず、10本ぐらい陽線が続くような展開になっていれば、内需主力株が相場を引っ張っていることでしょう。もうすぐだという現象は見逃してはいけません。テクニカル分析を使った相場へのアプローチでは、「もうすぐ○なりそうだ」、という時が一番投資妙味があるタイミングなのかもしれません。
東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ