欧州債務問題の影響は資金調達や景気など、いろんな形で波及しつつあります。そういった意味では、当面の相場の重荷になることは避けられないと思います。が、それを理由にしてしまえば話は終わってしまうのです。その関連ニュースは読み飽きたし、書き飽きました。あまりこの問題に集中しすぎると、次の投資アイデアが出てきません。厳しい状況とは認識しながらも先に進めましょう。 

さて、日経平均は反発の持続力を確かめる局面に入ったところでしょうか。ドル/円相場も78円台を回復。輸出株の中でも買い残が重荷で戻りが鈍い銘柄もありますが、足元のドル高円安への動きは、企業が中間決算時に為替見通しを当初より円高方向に修正したあとに起きていますので、業績の上方修正期待につながりやすい。ユーロ円の想定レートからはやや円高推移のイメージですが、ドル円は既に想定レート以上に円安が進んでいる企業が多いです。

例えば、ソニーは中間決算発表時に今期の業績見通しを下方修正しました。テレビ事業の不振や下期想定為替レートの円高への修正、タイの洪水の影響が主な要因です。下期の想定為替レートは、1ドル=75円前後、1ユーロ105円前後(2011年7月時点の前提は1ドル=80円前後、1ユーロ115円前後)。ソニーはドルよりもユーロの方が為替感応度は大きいですが、ドル円は想定よりも円安になってきています。輸出株全般としてみても、円安を背景とした上方修正期待から、向こう3ヶ月~6ヶ月程度の反発、年前半ぐらいまではリバウンド相場は有り得るかも・・・

ソニーの主要な節目でいくと2100円前後でしょうか。ソニーを輸出株のバロメータにしますと、その節目への到達が輸出株全体のリバウンド相場の頭打ちに近くなるでしょう。

しかし、2012年に向けては銘柄選択がきっと難しい。そういった時だからこそ、仕手集団復活の話題などに注目度が高まるのでしょう。

内需株をじっくり仕込む局面です。でも、今少し横を向いて、このあたりもみてください。カルビー(2229)、ビットアイル(3811)、エレコム(6750)、MonotaRO(3064)、ジェイアイエヌ(3046)、アドウェイズ(2489)、ウェブクルー(8767)など。特に2006年~2007年にIPOして、長期間かけて戻してきた銘柄は、これからも注目されそうですよ。

東野幸利

株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ