8月後半頃だったでしょうか、私が新人証券マンの頃に「株」を教えてもらった先輩(先生)からの携帯メール。いつもそこには、暗証番号のように4桁の数字だけが記されています。そう、まさに個別株の銘柄コードであり、それ以外は何も書いていない。上がる理由は自分で考えろ、ということなのでしょう。その方の名前をとって、○塾、と名付ける人もいたぐらい、東京の神田かいわいでは株上手で当時は有名でした。
メールには「1893」と書いてありました。マリコン(海洋土木・港湾施設建設工事を中心とする建設業者)の大手、五洋建設の銘柄コードです。
じりじりと下値を切り上げる動きは確かに魅力的。こんな環境のなか、今週の5月の戻り高値を更新してきました。それ以来、毎日チェックしていますが、誰が買っているのでしょう。
東日本大震災で被害にあった港湾施設の復興関連受注が注目されます。がれき処理に少し時間がかかるといわれていますので、これからの話なのかもしれません。会社側によると、国からの発注はきていない状況らしい。
あるストラテジストの建設株全般に対するコメントでは、1995年の阪神大震災のときの復興需要は、1992年からの経済対策で公共投資は一杯一杯の状況だったため、それ以上押し上げるのは無理だったと。今回は公共投資を押し上げる要因になるとしています。また、バブルが終わってから雇用を増やしたことや、借金が増えた当時と比べ、今は全く違うといいます。
建設株は3月に人気化したあと離散しています。どうせ長続きしないといった長期低迷に対する疑心暗鬼が抜けきれていない証拠。ただ、現実的には下値を切り上げる銘柄が出てきているので、選別する局面ではありますよ。
グリーやDeNAもいいですが、少し下げすぎた分、短期的にはシコリが重荷になる可能性ありです。遅いシグナルだけど信頼性が比較的高い指標に、新値足10本足というのがあります。高値を更新するたびに陽線を書き足すものですが、転換点を確実にとらえるため、直前10本の値幅合計を超える下げがあると反転(陰転)し陰線に変化します。陰転とみるポイントは、DeNAが3455円、グリーは2041円です。DeNAは今日の下げで陰転しましたので、当面は戻り売りスタンスがいいのかもしれません。
五洋建設は200円を超えたところですが、短期の5日線をサポートに堅調に推移しています。2008年以降は83円で二点底を形成しており、中期下値固めからようやく抜け出そうとしているタイミング。今年の3月高値241円は通過点になる展開がメインシナリオではないでしょうか。もちろん、復興関連だけが同社の注目点ではありません。
(※)本コラムでご紹介の銘柄を推奨しているわけではありません。