任天堂が業績の下方修正を発表した翌日の7月29日、同社株には朝方から大量の売りが殺到。国内大手証券や外資系証券などの格下げなども影響し、一時はストップ安寸前まで売り込まれる場面がありました。発売して半年しか経っていない「3DS」の大幅な値引きは、マーケットにかなりの不信感を与えたことでしょう。

一方、こういった動きをみると、昔証券マンの頃、ストップ高になりそうでならなかった銘柄は売り、ストップ安になりそうでならなかった銘柄は買いなさい、とよく先輩に教えてもらったのを思い出します。

任天堂株の史上最高値は2007年11月に付けた73200円。7月28日の終値が14000円なので、下方修正の前には既に高値から5分の1まで下がっていたことになります。さすがに29日は寄り付き直後で売り一巡となり、終わってみれば大幅にギャップ(空)を開けた大陽線となりました。

ギャップは最終的に埋められるもの。それが実現となるには2~3日のケースもあれば、数年かかる場合もあります。ギャップを生じるのは、買い方、売り方の均衡状態が崩れたことを意味しますので、その理屈からすると、基本的にギャップは埋めない方が上昇相場ではより強い、下げ相場ではより弱いということになります。

ただ、ギャップと一言でいっても、いろんな種類があります。「ブレイクアウェイ・ギャップ」は、もみ合いのレンジを出来高を伴いながら放れるギャップのこと。非常に重要な売買シグナルで、新たなトレンドの始まりを示唆するといわれます。上げでも下げでも解釈は同じ。

「ランアウェイ・ギャップ」は、上昇トレンドや下落トレンドの途中で発生するギャップ。「イグゾースション・ギャップ」は、消耗とか枯渇という意味で、トレンドの最終局面に生じるギャップです。なので、ギャップができたときは、なにギャップかわからない。ギャップの下限を埋めたときに売りシグナル、ギャップの上限を埋め戻したときに買いシグナルとなります。「ブレイクアウェイ・ギャップ」で始まったトレンドが、「イグゾースション・ギャップ」で終わるという認識です。酒田先生が伝授される三空踏み上げというのがありますが、考えかたはそれと同じです。

今回の任天堂株が形成した大きなギャップは、なにギャップになるのでしょう。「ランアウェイ・ギャップ」で下げがまだ続くのか、売り最終局面の「イグゾースション・ギャップ」になるのか。ギャップを埋め戻せるかがポイントになりますが、この異常に膨らんだ出来高をみると、まとめて保有していた大口投資家が手放したような雰囲気も。直近の動きは要注目ですね。

東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ

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