このコラムを担当させていただき、3年が過ぎたところです。あっという間に153回目になりました。
さて、7月15日付、「ほんとに強気解釈でいいの?」でご紹介させていただいたメガバンクの「ウェッジ型」の株価パターン。当時はまだ少し早いかもしれませんが・・・としましたが、そろそろ「ビシッ」と動きが出てきそうな雰囲気ではないですか。
「ウェッジ型」とは高値と安値を切り下げていくため、一見すると先安を連想させる動きなのですが、株価のピークやボトムで発生することも多く、突如と逆方向(今回あるとすれば上昇)の動きになるケースがあります。

なかでも、三菱UFJフィナンシャルグループ株。2009年5月高値以降の株価の高値と安値のリズムを見ると、2009年5月高値を基点に高値が切り下がっていく右下がりの上値抵抗線と、もう1つは2009年10月安値を基点に切り下げる安値を結んだ下値支持線、との間で動きが小さくなってきているのが確認できます。「ウェッジ型」の調整パターンです。
一方、最近は下値模索が続き、2009年3月安値の377円を割り込んでしまいました。直前安値を割り込むと売りが強まるケースも多いのですが、極端に下げが加速しないのは、その前の2003年4月安値の351円に近づきつつあることが要因。つまり、2003年4月安値351円~2006年4月高値の1950円までの上昇のスタートラインまで下げてきており、中期的な下値メドが意識される水準でもある、ということになります。
ただし、信用買い残が多く需給面の不安も強いため、上記の下値支持線を大幅に下回るケースでは下げが加速する可能性も想定しておく局面ですが、・・・ある意味ターニングポイントのようです。

ところで、祝日(文化の日)の日経新聞の一面に掲載された「インフラ金融」の話。見た瞬間に「なるほどこれか!」と思いましたが、三菱UFJフィナンシャルグループが大手英銀ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)の開発金融部門を買収するといった報道です。これは、主力株のなかでも出遅れているメガバンクの収益構造の変化を見る上での今後の注目点になってきそうです。
国内収益が低迷するなかで外需の取り込みを強化する流れが業界全体で目立ってくれば、低迷している株価の上昇要因になってくる可能性あり。
円高といった追い風のなかで収益性の高い海外資産の買い取りが増えてくれば、近い将来、収益構造が変わってくるといった期待は高まります。ここからは邦銀の優位性ですよ、邦銀が買われる要因はそれぐらいしかないかも。
日経平均は上手くいけば「逆三尊底型」が期待でき、11月2日前後で切り返してきた意味は大きい。8月31日安値を中心に7月初旬の安値が左底、きょうの大幅上昇が「逆三尊底型」の右底につながっていくかが当面の焦点です。「ウェッジ型」と「逆三尊型」の2つのタイミングに整合性はあるかもしれません。
東野幸利

株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ

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