欧州リスク、ユーロ安の一服、日本の企業は輸出で潤う企業が多いので、あとは業績面でのその影響度合いを見極めよう、といった雰囲気でしょうか。東京市場全体の商い低迷、指数の動きなどを見ると、そういった印象になっていると思います。
東証が毎週発表する三市場(東京・名古屋・大阪)の信用買い残高ですが、2008年8月中旬以来の2兆円台に乗せてきました。日経平均が安値更新する過程で、主力株中心に押し目買いが入ったとみられます。現状のような反発局面でも薄商いのなかでは、上値の重しになるので、当面主力株の深追いには注意したいところでしょう。
日経平均は6月3日の戻り高値9914円を超えたことで、短期上げトレンドへ転換した可能性が高まったと思います。さらに6月9日の短期底から「三空(マド)」を形成。立ち上がりの勢いのよさから、上値は意外と高いかも?と期待する動きではあります。

そういったなかでも、中国の好調な経済指標を背景に「中国関連」といったキーワードはやはり外せない。それが現在の機械株の動きです。機械株の一角には信用買い残の増加と同時に売り残の増加も伴っているものが多く、売り方の買い戻しなどで相対的に上昇が目立つ、といった要因になっているのです。昨日発表された5月の工作機械受注額は前年比で2.9倍、もちろん外需の伸びはそれ以上です。中国への輸出堅調といった背景で比較的安心感をもって下値を拾うことができる。ツガミもきょう高値をとってきましたから・・・機械株は再び注目でしょう。
いずれにしても、クラウドコンピューティング、スマートグリッド、電気自動車などの新規需要の見込めるセクターなどから、柱となる銘柄が欲しいところですね。

また、中国といえば、中国の新規公開(IPO)が日本株の重しになっているかも・・・といったコメントが、最近の新聞のコラムで紹介されていました。それは中国農業銀行の上場が承認されたことで、そういった思惑が広がるかたちになったのです。
中国農業銀行は中国国有4大銀行のなかの1つ。上海A株・香港H株への重複上場が予定されておりまして、中国政府の今年の重要プロジェクトです。
上海A株上場は7月15日。上海A株・香港H株の合計で最大280億米ドル規模の調達を目指しているそうです。市況悪化の影響などで当初予定よりも下回ることになるとか・・・、上場時期に関しても、先送りするとかしないとか、いろいろあったみたいです。

しかし、調達資金は円ベースでおよそ2兆5000億円とかなり巨額。今年後半には既に上場している銀行のファイナンスなんかも囁かれていて、それらを順調に売り出すためには、なんとしてでも中国農業銀行の上場成功を・・・といった動きもあるでしょうね。
最近、マーケットでは中国当局が株価を買い支えているのでは、との観測が出てくるほど、神経質になっていることは間違いなさそうです。それまで株価を押さえ込んで、押さえ込んで、公募価格を低く抑えておいて、その後大きく育てようといった作戦なのか?とあるセミナー講師の先生なども言っておりました。
現在、ご存知のとおり中国株は調整局面にあります。ある意味、その上場が上手くいくかどうかは、中国市場全体はもちろん、売買低迷の東京市場にとっても多いに関係ありでしょう。
確かに、アジア全体として動いているグローバルマネーは、かわりに日本の主力株などを売却する動きなどはあるかもしれませんが、上場が上手くいって、中国市場全体が元気を取り戻せば、東京市場全体にとって決してマイナスではありません。

東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ

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