九十九回目となります。「九」が並んで縁起がいいですね。一目均衡表の転換線は「九」日間の中値、三々「九」度の盃、大相撲の「九」重部屋などにも「九」が入っています。
 九×九=八十一ですが、「九」の段の答え、九×二=十八、九×三=二十七・・・・と、一の位と十の位をたすと全部「九」になりますし・・・これはあまり関係ないかもしれませんが、なんか不思議な数字ですね。
 中国では奇数は「陽」、偶数は「陰」といいます。「陽」の極である「九」が二つ重なるのは縁起がよく、九月九日は「重陽」と呼ばれます。

 それはいいとしまして、今回は「三尊天井」です。欧米流では「ヘッド・アンド・ショールダーズ・トップ」といった言い方をします。これは相場の世界で典型的な天井を形成するパターンとして有名なものです。かたちだけで見れば、現在の日経平均はそう見えますね。チラッとでも見てください、直ぐにわかります。要するに、8月14日の10630円が第一の山、8月31日の10767円が第二の山、9月11日の10522円が第三の山です。この三つの山で「三尊天井」といわれます。ただし、最後に条件がありまして、それはある水準を下回ったことが確認されて初めて、「三尊天井」が完成された、となるのです。日経平均ですと10143円処でしょうか、9月4日の安値のあたりです。ですから、まだ「三尊天井」になりそうだ、という段階ですね。

 最も大きな第二の山は釈迦如来、その左側の第一の山が文殊菩薩、右側の第三の山が普賢菩薩という組み合わせです。欧米流では真ん中の頭(ヘッド)に対して両肩(ショールダーズ)と言うことですね。
 教科書的には、「三尊天井」には以下のような特徴があります。第一の山は、安値からずっと上昇が続いて、最後に加速したあとの反落によってできたものです。やはり勢いがあって、出来高は三つの山のうちで一番多くなります。反落のときも買い気がまだ強いためか、押し目買いが入りやすく出来高はそんなに減少しません。
 第二の山は、第一の山を上回りますが、長続きせず直ぐに反落します。第一の山で買った人は高値圏でヒャとした買い方をしたので、その買い値を超えてくると直ぐに売りを出してしまいます。その売りに見合う買いがあればいいのですが、勢いあまって上昇した第一の山の反動安で下がった経緯をみているため、慎重になって第一の山ほどの買い方は現れてこないのです。100人買った人がいて、その100人が全員売るとしたら、新規に101人以上買う人が出てこないと上がりません。だから、第二の山は第一の山を更新した程度で終わってしまう、という理屈です。
 第三の山では、夢をもう一度的な感じでしょうか。依然出た好材料が蒸し返されたりもしますが、すでに人気は離散、出来高は三つの山で最も少なくなる傾向があります。第一の山と第二の山で買った人のシコリ玉の戻り売りに押されてしまう、何となく力のない上昇となります。ただ、ここで出来高が増加する場合は、さらに上があるまた違うパターンにつながります。

 以上、お気付きかと思いますが、「三尊天井」のかたちたるものは、出来高がその理屈通りになっていないと、「三尊天井」の天井パターンとはいえないのです。需給の仕組みがあってこその、三尊形成のメカニズムです。
 日経平均などは単なる225銘柄の集合体ですから、出来高の変化は極端にはなりません。日経平均の出来高付のチャートをみても、目で見た増減はわからないでしょう。
 ですから、日経平均で「三尊天井」は語れないのかもしれません。あくまでも個別株に向いた天井パターンだと思います。個別株だと時流にある局面では出来高は急増しますし、人気が離散すると全くできなくなります。出来高の増減がわかるものでなければ、「三尊天井」は使えないでしょう。
 日経平均を見て「三尊天井」と見切り発車して、早売りしないように気をつけた方がいいです。単なる上昇過程の中段もち合いかもしれませんよ。

東野幸利

株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ

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