生保各社の2008年度下期における一般勘定資産の運用計画によると、国内株に関しては残高維持や圧縮スタンスが目立ちます。日経平均の年度内の最低予想レンジは7000円、最高レンジは13000円想定とかなり幅が広く、概ね8000円から10000円に集中しています。つまり、現在の水準からは年度内に20%程度の上昇を見込んでいることになります。
 ただ、その想定見通しに反して、運用スタンスに強気の姿勢は見られないといったとこですね。市場環境に合わせながら、徐々に買い増しを検討するといった程度で、銘柄入れ替えを主体にした投資姿勢が中心か、・・・と思われます。この株価水準からもリスクを取りにいくことは想定していないみたいですね。
 金融市場の混乱や景気後退への懸念が強く、国内債券を柱にやや積み増す計画で、景気低迷の長期化を想定した運用戦略をとるところが多いです。当然ですよね。
 でも、株式市場全体的にはバリュエーション面の割安感は顕著です。テクニカル面でも・・・。少し話がそれますが、テクニカルの世界に"割安"という表現はないそうです。海外で採点されるある試験問題を受けたときに、私が"割安"という言葉を使って指摘されたことでもありました。その試験は落ちましたけど(笑)。
 昨年7月以降の株価下落により、日経平均ベースでPBRの1倍割れや、一時予想配当利回りが3.0%を超えるなど、数多くの株価指標が歴史的水準に達しているのは事実。"中長期的なスタンスでは買い場"、"長期的観点を重視した運用方針"としながらも、目先的には株式を積み増す方針ではないということのようです。足元の中間決算発表で下方修正が相次いでいるのも手控え要因となっており、逆張りリスクをとる許容度は各社各様でしょう。

 報道などによると、日経平均ベースでみた生保各社の損益分岐点で最も高いのは12750円。一方、最も低いのは7400円。10月27日の終値ベース(7162円)ではそれも下回ったことになります。損益分岐点が低ければ低いほどリスク許容度が高くなるとは言えませんが、この相場環境のなか、損益分岐点の格差は投資姿勢にも影響を与えてくるように思います。少なくとも全体的には、マーケットの買い主体にはなりそうにはありません。
 ただ、株式積み増しには積極的にはなれない一方で、銘柄のリバランスでは積極的な入れ替えの動きが想定されるのではないでしょうか。物色対象としては高配当銘柄や低PBR銘柄群?
 これは生保などの機関投資家だけでなく、外国人や個人投資家にも目先の共通した見方になると思われます。全体の換金売り相場につられて下がったそれら銘柄群には資金が集中する可能性があり、ストップ高銘柄が出てくるのも時間の問題のようにも思いますが。

東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ

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