何か銘柄見つかりましたか。先週末、私は月足チャートブックを買って、パラパラと銘柄探しに専念しました。底値で三本から五本程度、短い陽線が並んでいる銘柄は、あるようなないような、そんな感じですね。そこで、前回は説明不足で申し訳ありませんでしたが、底値で三本から五本程度の短い陽線(始値より終値が高い白のローソク足)が並ぶというのは、例えば下落や横ばいなど長期低迷相場が続いた後、4月、5月、6月(何月からでもよい)などと連続して陽線が三本(三ヶ月)並ぶと、そろそろ買い方の力が売り方の力よりも勝ってきたという解釈になるのです。出る位置にもよりますが、客観的に誰がみても上がりだしている途中で出たものや、上昇した後に出たりするものはあまり信頼できません。あくまでも、底値圏で出たものが有効です。さらに、陽線が短い足(始値と終値の間が短い)がよいとされています。それは過去の動きの中にあるローソク足と比べて相対的に短ければよいです。また、三本でも五本でも戦法による違いがあるだけで意味は同じです。酒田戦法では、「赤三兵(三兵行進)」と表現しますが、一目均衡表の考え方では、「五陽連」と表現します。例えば、新日鉄の03年6月からや、三井不動産の03年5月からの足がそれにあたります。

そこに意味があるのは中期的に下落基調が続き、上がっていない銘柄を探し出し、それだけを見て投資判断をするということです。私の場合は月足ベースでそれを見ますので、投資スタンスは長期です。現在の相場で、内需関連株が出遅れ好業績や含み資産関連という理由で買われていますが、その発想とよく似ています。先週あたりまでは、新興国向け外需関連銘柄は今年上昇を牽引しただけに、記憶が新しく下げた局面での押し目買いが思いつく最初の候補となりやすかったのですが、その戻り売り圧力は相対的に強いわけです。中途半端な下落で押し目を買って、またその買い値を下回ってくるパターンですね。でも、それに気付き始めた今週に入ってからは、内需関連が買われています。物色が入れ替わる典型的なパターンです。その循環のパターンを月足ベースのスパンで考えて、来年の銘柄、中期的に期待できる銘柄を、“今のうちに・・・誰も気付かないうちに買う。”という意味があるわけです。そろそろ、来年の注目銘柄が出揃ってきます。12月の月足を見てからでは遅いので、11月末の段階で探すのがベターです。でも、たとえ「三本」、「五本」見つかったとしても、下落が続いていた銘柄なので、足元のファンダメンタルは目立ってよくありません。その銘柄の将来性や技術力などによほど詳しい人でないと、投資判断できないのではないでしょうか。チャートだけで買えますか。

テクニカルが好きな私は、チャートの美しい形を重視するかわりに、企業業績のほとんどを無視し、強引に上昇しそうな材料を見つけだし、昔は自分で投資したりもしました。結構、上がりだしてから材料はついてくるものです。例えば、新聞なんかでもそうなんですよね。相場が反転した時、中心となる銘柄が突如出てくるとします。そうすると、翌日以降の新聞にはその銘柄に絡んだニュース記事が意外と出てきます。気にしているから、目に入りやすいのかもしれませんが、・・・。

少し話しが違いますが、05年だったでしょうか、03年4月に日経平均が安値をつけてから上昇トレンドが継続していました。私は出遅れセクターを探そうと思い、上記と同じ方法でセクターや個別銘柄を探しました。建設セクターは業界再編、食品セクターは食品価格の上昇が今後起きるのではと勝手に想像したのです。大昔に金価格が上昇、バブル時には土地が上昇、生きるための基本“衣・食・住”の中で、価格上昇が起きていないものは、“食”しかないと思い、食品セクターに注目したわけです。結果的に全然上がらずに、失敗しましたけど・・・。でも、ここ2年ぐらいで食料品がいろんな理由で、上がってきたなあ〜と感じてられる方は多いと思います。

話しがそれましたが、酒田戦法の「赤三兵」、一目均衡表の「五陽連」を月足で見つけるのは大変です。ただし、日足だとどうでしょうか。直ぐに確認できると思いますが、11月22日に安値をつけて、上昇するときに3つ陽線が並んでいます。これは「赤三兵」に順ずるものです。個別銘柄でも同時期に出ているものが多いですね。「赤三兵」が出た瞬間に相場が上がるものと信じて株が買えるかどうかです。サブプライム問題はいまさらもう関係なしです。いろんなテクニカル指標がありますが、その方法が市場に参入する一番早い方法ですね。そして、11月22日安値から30日までは陰線を1つ挟んで陽線が5つ連続しています。これを「一陰介在五陽連」といって、「五陽連」ほど強くないですが、・・・結構強いそうです。

以上のように陽線が連続で出現すると、相場は当面堅調です。日経平均は月初に高値を付け、調整3日目(12/5)の朝方売り一巡後からは買い優勢となりました。後場はサブプライム問題で金融危機に陥った英中堅銀行ノーザン・ロックの国有化報道が手掛かりになったのでしょうが、それがなくても上昇していたと思います。相場の世界では「3」という数字は非常に重要。3日目で素直に押し目買いから上昇するというのは、市場がまともになった証拠。それと、安値から形成した「一陰介在五陽連」を強い底入れシグナルと感じている人が多かったのでしょう。
(株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ 東野幸利)