今週の株式市場の材料は、国内では週初の景気動向指数に始まり、日銀「主な意見」(7/30・31 日開催分)、景気ウォッチャー調査、工作機械受注、機械受注、そして金曜日のGDPといったところ。海外では中国外貨準備高、中国貿易収支、米国の消費者物価指数などがある。だが最大の注目は9日にワシントンで開催される日米貿易協議(FFR)だろう。株式市場の、いや世界経済の最大の懸念が米国発の貿易戦争である。日本はこれまで比較的影響を免れていたが、FFRでは直接米国の強硬姿勢と対峙しなくてはならない。
米側は自由貿易協定(FTA)の交渉入り、そして農産物の関税引き下げを求めてくることが予想されるが、交渉の道具として自動車関税の引き上げをちらつかせる可能性もある。土曜日の日経が報じた記事によれば、仮に関税が引き上げられればその影響はトヨタで4700億円、日産・ホンダが4000億円と3000億円、マツダ、SUBARU、三菱自動車も含めて大手6社合計だと影響額は1.9兆円弱に達するという。交渉に臨む茂木敏充経済財政相はタフネゴシエーターで知られる。なんとか、うまい落としどころを探ってもらいたい。日本側には防衛装備品や液化天然ガス(LNG)の輸入拡大を提示する手がある。中国が600億ドル分の米国製品に追加関税をかける新たな対抗措置を発表したが、その25%の追加税率を適用する品目にLNGが含まれていた。追加関税で中国への輸出が難しくなれば日本がその受け皿となることは米国も歓迎するだろう。
FFRの米国の担当者は米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表だ。そもそも新しい日米の貿易協議=FFRの由来は、Free(自由)Fair(公正)Reciprocal(相互的な)の頭文字をとったものだ。USTRのホームページには、Promoting Free Fair Reciprocal Trade (自由、公正かつ相互的な貿易を推進する)とのスローガンが掲げられている。アンチ自由貿易で一方的な要求を突き付けてくる国のスローガンである。これ以上の皮肉はないだろう。
今週はFFRの成り行きを見守りたいとの思惑で様子見機運の強い展開か。夏休みをとる市場参加者も増えてくる。一層、動きづらく膠着感の強い展開となりそうだ。日経平均は22,500円の節目を意識したもみ合いの動きが中心となるだろう。
注意したいのがイランの動向である。米CNNテレビは2日、イラン革命防衛隊がペルシャ湾やホルムズ海峡などで大規模な演習を開始したと報じた。「同種の演習はこれまで秋に実施されてきたが、今回は異例の前倒しとなった。ペルシャ湾には現在、米海軍のミサイル駆逐艦1隻が展開しているが、米軍はさらに数隻を近海に派遣する可能性があり、地域の緊張が高まる恐れもある」と報じられている。イランは原油輸送の大動脈であるホルムズ海峡を封鎖する用意があると警告している。イラン核合意離脱に伴う第1弾の制裁再発動を7日に控えて警戒が怠れない。
今週の予想レンジは22,300~22,900円とする。