昨日は、金融緩和により社会システムに注ぎ込まれた流動性は、あたかも鉢植えの植物に注がれた大量の水が鉢の底の皿に溜まるように、企業の資本の部に溜まっていき、株価が上がるメカニズムを話しました。かなりザックリした整理ですが、大まかな流れを見るにはひとつの考え方となるでしょう。ではここからどうなるか?
日本は金融緩和を続けます。アメリカはどうか?アメリカの金融政策は、いずれ金利をゼロから上げ始め、大幅な緩和状態を徐々に正常化していくことを明らかにしています。アメリカがそういうことをするのは、経済がしっかりと回復してきたからです。鉢植え植物の例で云えば、植物が元気になったので、底から溢れるほどの水をやらなくて良くなったのです。そして水を普通のペースでやるようになれば、植物は元気ですが、鉢の底の皿は、水は溜まらずにしっとりと濡れる程度になります。
超低金利で企業は借り入れをし、大きな利益を上げてきましたが、一方で金利生活者は苦しい収支状況であった筈です。これが反転していきます。経済が強いから金融緩和を収縮していく訳ですから、今後も経済はそれほど心配しなくていいでしょう。しかし、例えばGDPはほとんど変わらなくても、株価は何十%も下がったり上がったりすることは、日本の例を見ても当たり前のように起きます。つまり、経済の強弱よりも、金融緩和のオンオフの方が、株価には影響が大きいと思うのです。
金融危機以降の世界株式、少なくともアメリカ株相場を支えて定義づけてきた大前提が、そろそろ変わろうとしていることを、少なく見積もってはいけないと思います。