たかが1100万人程度の国ですが、世界のマーケットを揺さぶっています。GDPは2400億ドル程度とのことなので、約30兆円。日本の6%。日本全国の経済規模は、江戸時代で約3000万石程度と概算出来るので、およそ180万石。加賀藩と薩摩藩を足したよりはちょっと小さいくらいでしょうか。そう考えるとまぁそれなりの規模ではあります。

日本の株式市場は3%弱売られましたが、ギリシャと日本の関係を考えると、過剰反応である感が強いですが、いかんせんゴタゴタの後のマーケットが日本から始まる巡り合わせだったので、この後ヨーロッパやアメリカでどういう反応するかも未だ分からず、取り敢えず多めにリスクを外すのは妥当な行動と云えるでしょう。今後欧米時間に、より正しいリスク量の模索が行われ、マーケットは行ったり来たりするでしょう。そして来週の日曜日にはEUの求める構造改革案を受け入れるか否かの国民投票が行われます。またしてもその後最初に始まるマーケットが日本なので、これまた荒れそうです。暫くはボラティリティ(変動率)の大きいマーケットが日本では続くでしょう。

私はギリシャに親しい友人が一人います。遡ること28年前、最初に就職したアメリカの投資銀行のニューヨーク研修で知り合った同期の同僚です。彼は数学がとても出来て、穏やかな性格で、何故かとてもウマが合い、仲良しになりました。その後彼はロンドン・オフィスに赴任し、金融工学を使ったリサーチやトレーディングをするようになり、私は東京に戻り、金融派生商品のマーケティングやトレーディングをするようになりました。いつだったか彼は実家のあるギリシャに戻り、家業であるホテルの経営を継ぎました。EメールやSNSのお陰で、今でも連絡を取り合う仲です。

その彼に昨晩、どうよ?と聞いてみました。この状況では、ハウ・アー・ユー?とは切り出しにくく、ちょっと工夫した聞き方をしたことは云うまでもありません。久し振りの唐突なメッセージにも関わらず、彼はすぐに答えてきました。直訳すると、「明日には資本規制が行われるだろう。そうなれば取り敢えずユーロは売られる。次の問題として、今の共産主義政府はなくさねばならないし、国民投票はEUに残る方向が優勢になると自分は思うが、世論調査も未だ行われていない。」-淡々として、極めて落ち着いたものでした。

トレーダーだったせいもあるでしょう。しかし彼だけじゃないと思います。大統領は茶番劇をしてますが、そして人々も表面上はそれに加担したりしますが、本当は冷静に考えて様々な行動を取っているでしょう。本件と同じようなことは、我が国も含めて、世界中で起きている現象です。そういったことを網羅的に見ていくことが大切ですね。